日本英語教育への提言

by 西 鋭夫 September 27th, 2017

言葉を知ることの意味


日本で単語を丸暗記せず留学していたら、単語力が少ないため学生や教授が使う言葉が何年たっても理解できず、「音」が聞き取れても意味が分からないという状態になっていただろう。

日本人留学生で修士号や博士号を取得した人は、例外なく豊富な語彙力を持っていた。英会話力が卓越していなくても、読解力と文章力(レポートを書く能力)があれば優等生になれる。

英単語は、英語の「漢字」である。漢字と同じで、数(量)が多いほど良い。普段使わなくても数多く漢字を知っているほうが良い。

漢字を憶えずに、日本語を学ぶ事はできない。

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「丸暗記」学習法


英語上達の最短距離は、一番時間のかかりそうな「丸暗記」である。これは時代錯誤の発想ではない。

現在、日本の英語教育では英単語を憶える努力(丸暗記と軽蔑されている努力)をさせず、「話せる英語」に重点を置いている。単語を知らず会話をするのか。「アーユー・フロム・アメリカ?」は英会話ではない。

日本の中・高・大学で英語は必須である。単語を丸暗記させ、スピードのある読解力と文章力を育む教育をするべきである。

その後、「会話力」をつけたい人は英語圏でしばらく(6ヵ月以上)生活しなければならない。他に方法はない。


大規模留学奨学金制度の設立


感謝もしない諸外国に日本国民の貴重な税金をばらまくよりも、日本人学生たちのために大規模の留学奨学金制度を設立すべきだ。年間50万人ほどの学生が留学できるぐらいの金を使うことが国民の利益(国益)である。

日本では他の言語は必要でないし、英語を話す機会も全くない。「駅前」で英会話力がつくなら、日本人はもっと英語が話せるようになっている。

日本の生徒や学生を英語圏に留学させるのが一番効果的である。可愛い子には旅をさせよと同じで、旅から帰ってきた若い日本人たちは、日本を慈しむ心の強い人たちになっている。


西鋭夫著『日米魂力戦』

第1章「遊学1964年」-17



この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。