From:岡崎 匡史
研究室より
「人口減少=悪」
あなたは、この方程式を正しいと思いますか?
いや、人口減少は良いことです。
もう少し正確にいうと、人口減少が良いときと、悪いときがあります。
前回は「なぜ予測は外れるのか?」について書きました。今回は、予測パターンの実例です。言うまでもなく、さまざまな状況により、パターン通りに動かないのが現実ですが、、、でも頭の整理にはなるはずです。
人口ボーナス
「人口学」(Demography)の立場からすると、人口減少は経済成長に結びつく。
なぜか?
それは、子どもの教育に「投資」をすることができるからです。
あなたが親の立場になってみてください。
たとえば、子どもが6人いたら、給料から教育費を工面することができますか?
平成26年度に文部科学省が実施した統計があります。(子供の学習費調査)
日本で幼稚園から高校卒業まで私立に通わせると約1770万円。その一方で、すべて公立の場合は約523万円。
さらに大学まで通わせたら、、、もう計算したくありません。
でも、あなたの子どもが1人か2人だったらどうでしょう?
子どもにもアルバイトをしてもらい、大学まで進学できる教育費を捻出できる可能性が高い。
教育を受けた若者は、知的産業(第三次産業)に就きます。知的なサービス業のほうが給与は高いです。農業や林業などは、自然に左右されます。さらに、知的産業の世代が退職すると、裕福な老人層が形成されます。この人たちが、高い買い物をしてくれます。
まるで、日本の高度経済成長期ですね。
つまり、、、
人口減少⇒教育費投資⇒知的産業の創出⇒経済成長
人口が減ることで、経済成長のサイクルが生まれます。だから、先進国の出生率は低いわけです。
人口負担
反対に、若者の人口が多すぎると、どのような事態が起きるのでしょうか?
教育への投資ができないので、政情不安になります。教育を受けていない若者は、集団心理に流され、盲目的になり、政治運動にのめり込み、ときには暴力を振るうこともあります。しかも、景気が悪いので若者の失業者もでる。そうすると、不満がたまるので、過激派運動が活発になるのです。
まるで、アラブ諸国のようですね。
紛争や内戦が起きている地域、あるいは貧困に喘いでいる国は、出生率が高く若者世代の比率が大きいのです。
さて、日本の高度経済成長期、出生率の低下は「善」でした。
でも今の日本は「人口減少=悪」という時代です。
なぜなら、労働力の人口が減りすぎ、しかも高齢者が膨大にいる。定年退職した世代も、貯蓄をだいぶ使ってしまったからです。
人口減少の流れを整理すると、、、
人口減少は景気を押し上げるプラスの段階がある。でも、それが終わるとマイナスの段階に入ってしまうのです。
では、マイナスの段階から抜け出すには、どうすればよいのでしょうか?
頭の体操がてらに、あなたも、一緒に考えてみてください。
ー岡崎 匡史
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。