東京裁判

by 西 鋭夫 May 5th, 2015

A級戦犯はマフィア・ギャングか


東京裁判のため、アメリカから首席検察官ジョセフ・B・キーナンが、1945年12月6日午後7時、厚木に38名の部下を引き連れて降りたった。彼は、シカゴのマフィア、アル・カポネを告発し、この全米で最も悪名高いギャング王を牢に放り込んだ。

ジョセフ・キーナン
56.org.JPG


また、検事総長の補佐官として、全米のギャングや誘拐事件を担当し、才能を発揮した。彼は、暴力団専門であった。日本のA級戦犯はギャング集団と見られていたのだろう。

翌12月7日、帝国ホテルで記者会見をした。12月7日は「真珠湾攻撃」の日(アメリカ時間)。


問 「天皇陛下をどうか」

答 「自分の口からは何ともいえない」

問 「戦争犯罪人の追及はいつまで溯(さかのぼ)るのか」

答 「1937(昭和12)年7月である(筆者註・近衛文麿が首相のとき起こった盧溝橋事件にまで溯る)」

問 「真珠湾攻撃の責任は」

答 「真珠湾攻撃の責任は爆弾を投下したその人ではなく攻撃計画を立案、実施した人である、自分は日本の侵略戦争、宣戦布告なき戦争を挑発したその罪過を指摘したいと思う」(原文は旧かな。『朝日新聞』1945年12月8日)

だまし討ちの責任は


真珠湾攻撃の前日、ワシントンの日本大使館の職員たちは、職務怠慢(同僚の送別会パーティに出席中)のため、重大な最後通牒の翻訳に取りかからず、アメリカ政府に宣戦布告書を手渡すことが遅れ、「日本人、卑怯者め!」の汚名を、永遠に被(き)せられた日本国民に対する責任をとったのか。

東京裁判の首席検事キーナンは、「卑怯者」を死刑にするために来たのだ。

その日本大使館職員の1人、責任重大の1等書記官奥村勝蔵(おくむらかつぞう)は、失脚するどころか、天皇陛下とマッカーサーの歴史的な会見の通訳として抜擢(ばってき)された。

抜擢したのは、驚くなかれ、吉田茂外相である。

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

人気の投稿記事

ミャンマーと北朝鮮

アジア最後のフロンティア 北朝鮮の今後の動向を予測する上で、東南アジアにあるミャンマーは一つのポイントです。ミャンマーはアジア最…

by 西 鋭夫 November 8th, 2021

中朝関係の本当の姿

水面下でのつながり 中国が北朝鮮の核実験に対して、断固反対すると声明を出しました。しかし、中国の習近平政権と、北朝鮮の金正恩政権…

ミサイル / 中国 / 北朝鮮 / 核実験 / 米国

by 西 鋭夫 November 1st, 2021

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。