世界の真実
世界は暴力で満ち溢れております。具体例は山ほどあります。中国によるウイグル族に対する組織的な暴力や再教育、ロシアの反体制指導者に対する拷問、北朝鮮の公開処刑、ミャンマー軍による市民への拷問や殺人など。人種差別を含めるなら、アメリカではかなりひどいアジア人差別が続いております。
身近な暮らしの中にも様々な暴力がある。ゆえに、どこかで意図せずして巻き込まれてしまうかもしれない。あるいは、国家権力が監視して、拷問する機会を狙っているかもしれない。
この現代社会でそんなことあるはずないでしょう。と思うかもしれませんが、長年、歴史を研究していると楽観視はできません。私は長く、共産党と特高警察の研究をしておりますが、日本社会も拷問や暴力と決して無縁ではありません。
自白
日本には長い拷問の歴史があります。ひょっとすると今も、肉体的な拷問ではないけれど、精神的な拷問を続けている国かもしれません。最近のことで言えば、日産のゴーン元社長の件が挙げられるでしょう。まだ裁判も何も始まっていないのに、1年以上にわたり独房に入れられておりました。「自白しろ」と迫る一方でした。
日本の刑法は江戸時代よりずっと前からありますが、日本では「自白」が犯罪を解明する際の中核になっております。ですから警察や政府は「おまえがやったのだろう」と迫るわけです。「おまえがやったのだろう」と言い続け、「はい、私がやりました」と言うまで、有罪とはなりません。
自白がないと有罪にできないのが日本の裁判なのです。もちろん例外もありますが、ほとんどがこのケースです。
眠らせない拷問
拷問には様々なものがありますが、「眠らせない拷問」というのもあります。今、大きなニュースになっているプーチン反対派の有名な政治家アレクセイ・ナワリヌイ氏ですが、毒を盛られてドイツに行き、その後助けてもらったようです。しかし、ドイツからモスクワへ戻ったあとに捕まり、今度は監獄に入り、「睡眠を奪われる」という、いわゆる「眠らせない」という拷問にかかっています。
ぶっ倒れて熟睡して、1時間後に「起きろ」、そしてまた寝てその1時間後に「起きろ」とやられると、完全におかしくなります。昔から「眠らせない」というのは、立派な拷問の一つでした。

逆さ吊り
私たちが知っているのは、日本のキリスト教徒を拷問にかけ、「私はキリスト教をやめまして、仏教に、神道に戻ります」とやらせた、その歴史です。ここでは非常に残酷なことをやった。
拷問の中で一番厳しい、人間の身体に一番きついというのは、逆さ吊りです。足首を括って逆さ吊りにされるのです。日本のキリスト教徒がそれをやられました。宣教師たちもやられました。逆さ吊りにすると血が下に流れてきますので、早く流れないように、足首からきつく縄を巻いて、血が早く落ちないようにしているのです。
血が頭にたまるとものすごい痛みが出ます。だから、あまり血がたまらないように、耳たぶに切れ目を入れてゆっくり流す。あるいは、こめかみに穴を開けて、血がシューッと出るようにしてありました。
ほとんどの人はこの激痛に耐えられず、キリスト教をやめました。
西鋭夫のフーヴァーレポート
拷問の歴史(2021年7月上旬号)-1
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

