勲章の歴史的意味
勲章を受ける者たちは、特定の職業や地位に偏っている。政治家や高級官僚が多い。その一方で、民間人は少ない。そう考えると、日本の勲章制度は政府や官僚を敬い、民間を卑しいものとみる「官尊民卑」という傾向があるのではないかと思います。
叙勲は国家の価値体系が反映されていると思わざるを得ませんが、これはさらに歴史的なものと理解すべきでしょう。日本は明治時代のままで、何か政府の役人や官僚になったり、政治家になったりすると、人としてのランクが上のように思われております。
アメリカの状況はほぼ正反対です。
アメリカの価値観
私が最初にアメリカに行った時のホストファミリーはお金持ちの保険会社の社長さんでした。そしてギャリーという一人息子がいて、彼もよく出来てワシントン大学の法科大学院に行って卒業し、お母さんはこの息子ギャリーがこれからどこかの大きなビジネスに入ってお金持ちになってくれるのではないかと思っていました。
ところがギャリーはそちらへ行かず、いわゆるアメリカの外務省に官僚として入ってしまったのです。私は覚えていますよ、あの時のお母さんの失望された顔。恥ずかしいという気持ちもあるように見えました。
すなわちアメリカでは官僚になることは全く偉くないのです。皆さん、今バイデン大統領のホワイトハウスに入っている官僚たちは、いわゆる一般の企業で活躍していた人が来ております。日本はどこかの有名な小学校に行き、有名な中学校に行き、難しい試験で有名高校へ行き、そこからまた難しい試験を受けて有名大学に入っていき、そこから政治家や官僚になった人が偉いと思われている。皆さん、考えてみてください。どれだけ物事を経験していない人が日本の政治や行政をつかさどっているのですか。

誰を表彰するか
1964年のオリンピックは、全国民がキャーと言うほど盛り上がっておりました。この間のオリンピックについて私は興奮せず、誰が勝ったか全然興味がありません。国の勢いというものがあるのです。日本の勲章も、国の勢いを盛り上げる男や女に早めにあげればいいのです。私は勲章の話になるたびに、新聞を見ては「誰だ、これは」と思っています。
アメリカの勲章はほとんど軍人です。おそらく95%が軍人です。いわゆる戦死した人や、それで傷つき、体を引きずりながらも自分の部隊や住人を安全な所に連れて行った人です。
民間の人が勲章をもらうというのは聞いたことがありません。アメリカでは、これはもう当たり前にすごいレベルであり、勲章というのはまた別物なのでしょう。
西鋭夫のフーヴァーレポート
勲章と権力(2022年4月上旬号)-3
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

