ロバート・ケネディ
ジョン・F・ケネディには弟、ロバート・ケネディがいました。兄が暗殺された後、ロバートの評価は一気に高まりました。私がアメリカの大学院生だった頃です。非常に好感の持てる政治家でした。
ロバートは、父や兄がマフィアとつながっていることや、巨額の資金の流れなどについて、それほど詳しく知らなかったようです。兄が大統領になると司法長官に任命され、FBIのトップとなりました。そんな中でマフィアを徹底的に追及してし、弾圧を進めたのです。おそらく兄は弟に「おまえ、その辺でやめておけ」と言おうとしていたのかもしれません。しかし、その前に暗殺されてしまった。ロバートはそれで余計にマフィアへの疑いを深めました。
当然、マフィアは激怒します。「あれだけ助けてやったのに、このケネディめ」というわけです。やがてロバートは大統領選に出馬し、カリフォルニアの予備選で首位に立ちました。その年の11月、彼が次期大統領になると誰もが思っていた矢先、カリフォルニアでの祝勝パーティーの最中、頭を撃たれて命を失いました。

真犯人
例えばの話ですが、もしオバマ大統領やバイデン大統領が外国勢力に暗殺されたら、アメリカ国民は黙っていないでしょう。普通なら必死に犯人を追い、場合によっては戦争にさえなるはずです。ところがロバートの場合、そうはならなかった。なぜか。
犯人はアメリカ国内にいたからです。暗殺者はイランの留学生、あるいは移民とされ、今も刑務所に収監されています。その人物について詳しい情報はほとんど出てきません。
ロバート暗殺の瞬間は、テレビ中継の真っ只中でした。その祝賀会場で銃声が響いたのです。そして次の映像には、目を開けたまま床に倒れるロバートの姿がありました。誰かが抱きかかえていましたが、すでに即死でした。
報告書はいつ全面公開となるのか
多くの人前で堂々と命を狙う。これは完全に見せしめです。本気で殺すだけなら、遠くから最新の狙撃銃でやればいい。あえて大勢の前で撃ったのは、「俺を評価しろ」という暗殺者のメッセージでもあります。
では、ケネディ暗殺で利益を得たのは誰なのか。推理小説なら「利益を得た者が犯人だ」とよく言われますが、この事件ではそう単純ではありません。
捜査を任されたのは、アメリカ最高裁で最年長判事ウォーレンを委員長とする特別委員会でした。2〜3年かけて調査し、報告書をまとめましたが、その内容はトップシークレットです。しかも公開期限は100年です。トランプ氏やバイデン氏が少しずつ小出しにしていますが、その核心部分がドサッと世に出るのは、あと50年後かもしれません。
西鋭夫のフーヴァーレポート
ケネディ神話の崩壊(2022年2月下旬号)-8
この記事の著者

西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。