新しい憲法を

by 西 鋭夫 July 14th, 2025

自衛隊の苛立ち

戦後75年間、私たちはマッカーサーの平和憲法と平和教育と呼ばれるもので殴られ、洗脳され、ボディブローを受け続けてきました。そのツケが、今まさにやってきたのです。この国家の緊急時、私たちは自分の足で立つことが出来ないのです。ホルムズ海峡のタンカー攻撃を目の当たりにしてそう思わざるを得ません。私たちはもう完全に追い込まれているのです。

とにかく、日本の石油確保は現状の体制のままでは難しいでしょう。海上自衛隊をあのホルムズ海峡に派遣して戦艦を配置するかどうか、これが問われております。でもそれが日本にできるのでしょうか。それともまたアメリカに頼みますか。アメリカに頼めば、今度は余計にお金を取られますよ。

皆さん、今、日本にあるアメリカ軍基地に対して、日本が年間いくら支払っているかご存じでしょうか。これは皆さんの税金です。1年間で1兆円です。驚く金額でしょう。日本には「お金がない、お金がない」と言っているのに、よくもまあ、そんな額を払えるものだと。1兆円あれば、日本の海上自衛隊、航空自衛隊、そして陸自自衛隊、あるいは特殊部隊など相当立派なものが作れます。

自衛隊にはきっと勇敢な男たち、女たちがたくさんいらっしゃいます。けれども、今の状況では内心イライラしているに違いない。こんなに立派な武器を持って、戦闘機も持っているのに使う場面がない。日本の国益が脅かされているというのに、それでも出動できない。

 

日本の安全保障と憲法

米国の基地が日本にあること、それを問題だとする声もあります。しかし、今の法律や憲法の下で、日本はアメリカ抜きに自国の国土を守ることができません。これが大問題です。

私は憲法改正が必要だと考えています。ここで言う「憲法改正」とは9条だけをいじるという話ではありません。そうではなく「新しい憲法を作る」ということです。新しい憲法のもとで、日本が自立した防衛軍、すなわち国防軍を持つようになれば、アメリカとの関係も変わるでしょう。今のように日本にアメリカの基地がズラッと並んでいる必要はなくなります。「お金がかかりますから、もう出て行ってください。私たちが自分でやれます」。そう言えるようにならなければいけません。

そうでなければ、戦後70年続いた今の日米関係は、これから先も延々と続いていくでしょう。これはアメリカのせいではありません。日本国民、つまり私たち自身の責任です。自分の国を、自分の財産を、自分の命をどれだけ守る気があるのか。その覚悟が問われているのです。

 

用心棒と平安貴族

もっと分かりやすく言いましょう。いま日本に駐留しているアメリカ軍というのは、ある意味「用心棒」なのです。昔の奈良時代や平安時代、金持ちの貴族が武士や侍を雇って身を守っていたようなものです。その用心棒から見れば、「おまえたちは朝から晩まで紙に何かを書いたり、球蹴りなんかして遊んだりしているだけじゃないか。俺たちが全部やってやるから、おまえたちはどこかに行っていろ」となるわけです。

それと同じことが、現代の日本で起きているのです。日本は何もしない。ただお金を払って、遠くからハラハラ見ているだけ。それでは、国益を根こそぎ取られます。アメリカは日本に対し、「防衛にただ乗りしている」と思っているでしょう。しかし問題はより深刻です。トランプ大統領は、安倍総理にこう言ったかもしれません。「おまえ、もし中東で何かあったら、自衛隊を派遣するんだよな? まさか出さないなんて言わないよな」。

お金だけでは解決できないことを突きつけられているのです。日本の安全保障をどうするか。本気で考え、行動に移さないと日本が潰れます。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
日本の底力(2019年9月下旬号)-6

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。