週休3日制、反対

by 西 鋭夫 May 19th, 2025

週休2日制の功罪

日本ではかつて土曜日の午前中まで授業がありました。それが週休2日制になりました。それからもう30年以上が経っていますが、これをどう評価するか。政治の動きを見ておりますと、今後はさらに「週休3日制」を導入すべきではないかという議論があるようですが、私は学校でも、職場でも週休3日制は反対です。週に4日、会社や学校に来て何になるのでしょうか。

勉強という意味では、学校で過ごす時間が圧倒的に少なすぎます。1日3時間睡眠で勉強を頑張りましょう。そういうことであれば私は本気で議論します。しかし勉強にかける時間をあまりにも軽視しているように思うのです。最初は多くの人が勉強好きではないかもしれません。それで、少し嫌だと思ったら、すべてやめてしまうのです。それを日本の教育では、あたかも個人の権利であり、選択だとして尊重するわけです。私は「やめるなよ、このやろう」と思います。一度やりだしたら、まずはとことんやってみろと思います。

皆さん、日本人で素晴らしい成績を残しているスポーツ選手やピアニスト、ヴァイオリニストがいますが、毎日、毎日練習です。勉強しているのです。素晴らしい研究者や医者、弁護士なども多くいらっしゃいますが、とことん勉強しております。私は大学で竹刀を持ってスパルタ授業を行いました。英語が全くできなかった学生たちの中から、TOEFLで満点とる学生が何人も出ました。TOEICではありませんよ。TOEFLです。そこには感動がありました。

 

ゆとりは必要か

週休二日制が入ってくるのと同時に、「ゆとり」という考え方が日本全国にさっと広まって行きました。教育の分野ではゆとり教育ということがもてはやされ、それが一斉に始まりました。

「ゆとり」という言葉は非常に美しい言葉です。しかし、それを教育分野に適用してはなりません。私は大学にて、ゆとり教育のバカさ加減について延々としゃべっていたら、ある学生が手を上げて「西先生、僕はゆとり教育を数年受けましたけれど、僕らは損をしたのですか」と質問してきました。国の立場からは、「損をしているよ」などと答えることはできないでしょう。

皆さんだったらどう答えますか。この状況に対して、誰か文科省の偉い官僚の方、責任を取りましたか。あのアイディアを出した人は誰でしょう。アイディアを出した人の子どもはどこの小学校に行っているのでしょう。ゆとりでやっているのでしょうか。それともアメリカンスクールとか、授業料が高くてものすごく厳しい学校に行っているのではないのですか。

ゆとりでもって、この厳しい国際社会を生き延びることはできません。一学期に1000時間勉強した人と、100時間しか勉強しない人の差は10倍です。100時間の勉強で、1000時間勉強した人には太刀打ちできません。これを2、3年、さらに5、6年続けたらどうなりますか。その差は歴然です。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
日本の底力(2021年5月上旬号)-4



 

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。