対中政策の揺らぎ
バイデンさんは45年ほど議員をやられて、副大統領も経験しておりましたが、アメリカでは「中国のポケットに入っている」などと揶揄されておりました。中国に全てを握られている、といったイメージです。
たとえば次男のハンターさんは商売の経験がほとんどないのに、お父さんと一緒に中国に行き、1兆円のビジネスのお話をして帰国しました。彼はウクライナにも行ってお話をまとめております。それらが最近見つかり、この1年ほど大騒動になっております。
バイデンさんもどう説明すれば良いのか分かりません。しかしながら、この間のディベートでは上手く切り抜けたと思いました。ハンターさんについて突っ込まれたバイデンさんは「確かにハンターはいろいろ問題があります。でもあいつは麻薬中毒なのだ。今一生懸命治そうとしている」と話しました。これは素晴らしい回答でした。そう言われたらトランプさんも突っ込むことが出来ません。
反撃
しかし問題はそんなに単純ではありません。バイデン一族の面倒を見ていた中国やウクライナはどう思うでしょうか。仮にバイデンさんが大統領になったら、いわゆる「大統領、これこれしてください」「私たちを脅かさないでください」などとやるでしょう。
そうなると、日本は窮地に立たされます。中国が押し寄せてきたとして、バイデンさんは本当に日本を守るのでしょうか。「対馬など、あげても良いのではないですか」などと言うのではないでしょうか。台湾の方はびくびくしています。バイデンさんが台湾をしっかりと支えるかどうか不明です。
トランプさんだったら中国が台湾に指一本でも触れたら、日本にいる第七艦隊がウワーッと台湾海峡に結集するでしょう。ですから日本人は本来、トランプさんを応援しなければいけないのです。ところが心情的に左派ですから、バイデンさんばかり応援しているわけです。
覇権戦争の可能性
トランプさんは経済戦争を皮切りに、軍事面でも中国を威嚇(いかく)しております。さらに、人権、宗教問題を持ち出して圧力をかけております。
この姿勢は中国から大きな反発を招くでしょう。しかし、米中が直接交戦することはないと思います。第三次世界大戦となりますから、お互いに大打撃を受けます。中国とアメリカが戦争になったら、皆さん、日本にはおられませんよ。ここは最初にやられます。
しかし経済戦争の方は熾烈を極めると思います。トランプさんは中国経済を潰してやろうと思っていますから、そのために人権問題を使って徹底的に中国を批判するのではないかと思います。また中国に展開している米国企業にも撤退を呼びかけるのではないかと思います。
西鋭夫のフーヴァーレポート
日米同盟の未来(2020年10月上旬号)- 4
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。