軍事パレードと道路
皆さん、世界各国・地域のあちこちで軍事パレードが行われておりますが、その際、軍事技術や装備品、開発されたミサイルなどだけでなく、それが行われている道路に注目してみてください。「軍事パレードができる道路がある」ということは、戦争を念頭にした道路作りが行われている、ということなのです。すなわち防衛や交戦を意識したインフラ作りです。
アジアでは軍事パレードを行なっているところがいくつかありますが、装甲車だけでなく、戦車や大型のミサイルを積んだ車両も通っております。その道路ですが、どれほど頑丈に作られているか、よくわかるでしょう。
日本の現状
その意識で日本を眺めてみると、国防意識のないインフラばかりであることに気づきます。日本の道路を戦車や装甲車が走るものなら、バリバリと割れて、壊れてしまうのではないでしょうか。大型車両が通ることができるような道は、おそらくほとんどないと思います。
なぜこんなことになったのか。私たちは憲法9条があれば、永久に平和だと勘違いしているのだと思います。軍事や国防のことなど大真面目に考えていないのです。独立を果たした時から、この国土では、自衛隊がしっかりと使うことのできる道路がほとんどないのです。
もしどこかの国に攻められたらどうするのですか。陸上自衛隊はどうやって現地に行くのですか。車両が通れないでしょう。ではタクシーですか、乗用車ですか。大型の軍用機で1,000人ぐらいを一瞬で運ばなければいけない時もあるでしょう。しかし、地方に着陸場所はあるのでしょうか。自衛隊の駐屯地は可能性がありますが、敵はそもそも基地の近くに進軍するとは考えられません。
防災も同じ
国防に関わることだけではありません。防災も同じです。大地震や大災害が起きた際、私たちを守ってくれるのは自衛隊です。いち早く、救援に向かってくれますし、救援物資も届けてくれます。しかし、道路がすぐに壊れてしまってはそれさえも出来ないでしょう。
日本の道路を作ってきたのは建設省であり、今では国土交通省です。新たな道路を作るのであれば、防災や防衛という観点を徹底的に入れ込んでほしい。そうでないと、まずいでしょう。
地方には日本のエネルギー政策にとって極めて重要な施設がありますが、その施設の防災、防衛設備にも注目してください。それらの多くが70年代、80年代、遅くとも90年代までに着工されたものですね。換言すると、今から30年から50年近く前の技術で作られているのです。これが本当に安心と言えるのか。大いなる疑問を持っております。
西鋭夫のフーヴァーレポート
国土復興と防衛(2020年3月上旬号)-4
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。