思惑
中国の最高指導者である習近平主席の動きが気になります。安倍総理は習氏を国賓として招くことを検討しているようです。フーヴァー・レポートの会員さまから、「香港で暴動が起きている中にあって、習氏を国賓として日本に招くことはどうなのか。世界の立ち位置からズレてしまうのではないか」との問題提起を頂きました。
総理は一体何を考えていらっしゃるのか。正直なところ、この決定の背景に何があるのかについては私もまだ分かりません。しかし、日本の政治家の皆さんを見ておりますと、中国に対してあまりにも弱腰であるように思えます。これは感覚的に言っているわけではありませんよ。
例えば皆さん、中国はこの20年ほど、日本海や沖縄周辺の海域でやりたい放題やっています。そんな中にあって、日本の政治家で中国に対してきちんと文句を言った人はいますか。中国は人工の島を平気で造っているのですよ。船に対しても体当たりしてきているのですよ。怒らないのですか。
中国の漁船がもしアメリカの漁船に体当たりしたらどうなるか。ただじゃすまないでしょう。一瞬のうちに沈められますよ。
皇帝
日本は何をやられても、何を言われても我慢しているように思いますが、これはどう考えてもおかしい。何か負い目でもあるのでしょうか。日本の政治家にとって、習近平氏はいつの間にかに皇帝のようになってしまいました。日本は中華帝国による冊封体制の一部として、いまだに頭を下げているように見えます。
そもそも国賓で呼ぶ理由は何なのでしょうか。経済ですか。お金ですか。それとも脅されたのですか。脅しは十分にあり得ます。今まさに米中で貿易戦争をしているわけでしょう。中国が近づいてくる動機はいくらでもあるからです。
しかしです。日本はもうすでにアメリカの半属国になっておりますから、アメリカが日本を手放すことはない。すなわち、中国がその力を総動員して日本を獲りにきても、アメリカはそんなことをさせません。政治家の先生を一発殴って目覚めさせ、中国につきそうな政治家は排除しながら、親米政権を作っていくでしょう。
いずれにせよ、この時期に習近平氏を国賓として呼ぶべきなのかどうか。そしてそれは本当に日本の国益にとって良いのか。慎重な検討を重ねていくことが必要です。
西鋭夫のフーヴァーレポート
国際政治とリーダーシップ(2020年1月下旬号)-5
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。