温暖化は脅威に非ず
皆さん、現在世界中で「気候変動」やら「温暖化」などと騒がれておりますが、一番の脅威は温暖化ではありません。怖いのは氷河期です。
前に一度お話ししましたが、スタンフォードの偉いおじいちゃん先生とこんな話をしました。「トシオ、おまえ温暖化、温暖化とあちこちで言っているのだろう?」「僕は言っていませんよ」「温暖化でいいことがいっぱいだ」と。彼によれば、赤道の北20度から南20度の範囲では今、森林がわっさわっさとすごい勢いで増えているようです。
暖かくなったこととCO2が増えたことが影響しております。CO2は森林にとってはご馳走です。ウワーッとたくさん吸収して、草木がぐんぐんと育っております。その近くに住む動物たちも幸せです。
干魃
もちろん温暖化によって雨が降らないことも大きな問題です。中国などでは雨が降らず、旱魃が起き、大地が割れて作物が育たないということが、歴史的に繰り返し起こっておりました。
しかし皆さん、よくよく考えて欲しいのですが、日照りが続いて飢餓が起きた時代はいつでしょうか。この20、30年ではないでしょう。大昔からです。すなわち、温暖化が大きく問題視されていない頃の話なのです。温暖化イコール旱魃や飢餓とは異なるのです。
氷河期の恐ろしさ
その彼も言っておりましたが、温暖化より怖いのは氷河期です。地球が冷たくなることです。これを誰も言わない。温暖化で「大変だ、大変だ」と騒いでおります。
日本の記録も遡ってみましょう。江戸時代の三大飢饉はなぜ起きたのですか。あれは小さな氷河期でしょう。それが江戸時代300年の間に、周期的に起きているのです。寛永の飢饉(1641〜43年)、元禄の飢饉(1695〜96年)、享保の飢饉(1732〜33年)、天保の飢饉(1833〜39年)など、他にももちろんありますが、起きた年代を確認してほしいと思います。
温暖化の話はせいぜいこの20年から30年の話です。地球はその周期では動いておりません。ひょっとしたら何百年、何千年の周期です。それが、昨日、今日の話で「人間が変えた」「人間の責任だ」ということになっております。人間に地球全体の気候を変える、そんな力はございませんよ。
西鋭夫のフーヴァーレポート
胃袋戦争(2020年1月上旬号)-3
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。