From:岡崎 匡史
研究室より
知事選挙の投票率は、総じて低い。
2020(令和2)年、東京都知事選挙の投票率は、55パーセント。
東京に隣接する神奈川県は、40.35パーセント(2023年)。
埼玉県知事選挙の投票率に至っては、23.76パーセント(2023年)。
都道府県知事の選挙は、なぜか身近に感じない人が多い。
この背景には、何があるのか?
エリートの特等席
日本で知事を選挙で決めるようになったのは「地方自治法」が成立した1947(昭和22)年になってからだ。
それまでは、「官選制知事制度」といって内務省を中心として、中央官庁から派遣された人物が知事に着任していた。
都道府県知事は、民意が一切反映されない、特権階級と官僚エリートの席であった。
中央集権主義は、明治時代からの産物だ。
特高官僚
1945年の敗戦から1947年の「地方自治法」が成立する数年間、当然のことながら官僚エリートは都道府県知事に居座る。
そのなかには、各県の特高課長を歴任していた内務官僚のエリートたちがいる。
「特高警察」や「治安維持法」と聞くと、過去の存在に感じられる。
GHQの占領政策(人権指令)によって、特高警察は解体され、関係者たちは追放(パージ)されたはずだと。
しかし、5000人以上もの元特高警察関係者が罷免対象から外れていた。
GHQは「1945年10月4日現在の在任者」という日付で区切ってしまったので、それ以前に勤務していた特高官僚たちは無罪放免にされていた。
彼らは素知らぬ顔で国会議員になったり、地方自治体の要職に就き、戦後の日本で暗躍した。
ー岡崎 匡史
PS. 以下の文献を参考にしました。
・柳河瀬精『告発 戦後の特高官僚』(日本機関紙出版センター、2005年)
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。