標的となった寺院
皆さん、つい2、3日前の出来事を覚えていますか。パリの有名な寺院がありますが、そこで不自然な放火があったようです。世界的にも有名な寺院です。この放火のため、思いもつかなかったような火災が起きました。
何が起きたのかは調査中でしょう。原因が分かっても明らかにされないかも知れません。しかし私はドローンを使った攻撃ではないかと密やかに考えております。小さいドローンにナパームというゲル状のガソリンをくっつけて、ポンと落とすだけです。
こんなことが平気でまかり通る世界となっていくのではないか。要人を暗殺したり、重要施設を破壊したり、何かを妨害したりと、無人のドローンが遠隔で、あるいはそのものがAIを持って作戦を遂行する。そんな時代に突入しているのだと思います。
戦争の形
戦争の形を大きく変える。それがドローンとAIのもつ危険な影響力です。私たちはこれまで、「戦争」と言えば、どこかの地点が爆発したりして、大勢の人が死んでいく、ということを想像してきましたが、新しい戦争は異なります。
すなわち、AIがインフラ制御システムに侵入して、水道を止めたり、電気を止めたりするわけです。高性能のドローンが交通網を破壊したり、重要施設を撃破したりすることもあるでしょう。AIが目に見えないレーザー光線を出して、あらゆるものを壊す可能性もあります。
日本に50基以上存在する原発もターゲットになります。完全に防衛するなど無理です。そこが標的になり、仮にミサイルが落ちて、放射能が広がることになったら、もう何もできません。いくら優れた防衛施設や防衛兵器、戦闘機、戦艦などがあったとしても、放射能で汚染されてしまえば使うことは困難です。
ハッカー部隊
兵士たちももはや迷彩服を着た軍人とは限りません。アメリカではシュミレーションゲームの上手いお兄ちゃん、お姉ちゃんたちの選抜が始まっています。情報技術、ハッカー技術に秀でた天才的な若者たちの選抜も行われております。
天才的な少年少女たちを集めたデジタル軍やIT軍が、どんな兵器よりも優れた力を発揮すべく準備を進めているのです。この部隊を打ち負かすことは、どんなに高額な戦闘機や戦艦を用いたとしても難しいでしょう。
アメリカも中国も、AI技術の研究開発と人材育成に本気で取り組んでおります。それは国家の命運をかけたプロジェクトなのです。そこに注がれている予算額も計り知れない額となっております。
西鋭夫のフーヴァーレポート
AI戦争と監視社会(2019年4月下旬号)-2
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。