人工知能
科学の進歩とともに、私たちの世界は大きく変わってきました。このことは軍事技術にもあてはまります。例えば米軍は、インターネットやGPS、ステルス機、ドローンなど、多くの革新的な技術を生み出してきました。その一つ一つの技術が私たちの生活に、また戦場にもたらしてきた影響は計り知れません。
近現代に目を向ければ、まずは蒸気の力を用いた産業革命が思い浮かびますね。イギリスの蒸気ポンプ、もちろん最初はがっぽんがっぽんと水を吸い上げるポンプでしたが、その開発、改良が重ねられ、ついには蒸気を動力として使う仕組みが開発されました。
そこからいろんな所に応用され、やがては蒸気機関車が走るようになりました。蒸気の後は、石油がやってきて、原子力、インターネットと続き、現在ではAIが登場してきました。これらすべての技術が革命を起こしております。
革命
人工知能、すなわちアーティフィシャル・インテリジェンス(Artificial Intelligence)は、これまでのどんな革命よりも桁が違うほどの影響を及ぼすでしょう。それは大革命であり、また最も恐ろしい革命となり得ます。
その最たるものは戦争でしょう。AIが兵器を作るだけではありません。その兵器、すなわち武器や戦車、戦闘機などがAIを搭載するわけです。AIにとって宇宙空間の衛星は命綱ですから、しばらくするとその衛星一つ一つにAIが備え付けられるでしょう。そうすると衛星同士の戦いが始まります。
暮らしの面でも多くの影響があるでしょう。例えばAIによる無人自動車の開発が進んでいますが、10年もするとこの技術は完璧に進化し、人間が運転するよりも安全に運転してくれるかも知れません。人は車の中で、運転するのではなく、自由な時間を過ごすことが出来るようになります。仕事をしても良いし、映画を見ても良い。車の概念がガラッと変わるでしょう。
宇宙戦争
しかし自動車一つとっても、AIによる操業となれば、人工衛星、GPSシステムを活用するわけです。そうすると、宇宙やサイバー空間で戦いや衝突が起きた場合、一体どうなりますか。
AIは一人でにどんどんと賢くなりますし、そのスピードも人智を超えたものでしょう。今、開発されたAIが1週間、1ヶ月後には時代遅れとなります。その賢さも1,000倍、1万倍と飛躍的なものとなりえます。そうなると、私たちではもう制御できないかも知れません。
現在の国際政治上において、核兵器の存在は重大な問題となっております。しかし、AIとの、あるいはAIとAIとの宇宙戦争、サイバー戦争ともなれば、その被害は核兵器以上のものとなるのではないでしょうか。
西鋭夫のフーヴァーレポート
AI戦争と監視社会(2019年4月下旬号)-1
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。