想定外
日本は地震大国です。私たちが生きている間に、3.11規模の地震はもう一度起きるでしょう。その時には、北海道から九州まで広がっている原発のどこかで何かが起きるのだと思います。福島の場合は津波でやられましたが、津波でなくとも巨大な地震は土地そのものを破壊します。原子力の専門家は「建物」の安全性を強調しますが、地震は建物が建つ大地そのものをとてつもない力で揺るがすのです。
事故の言い訳はいつも「想定外」です。人々の命がかかっているのに、そんな言い訳が罷り通ってしまうのが日本なのです。汚染によって実際に故郷を失った人がいるのです。政府は因果関係を特定しようとしないのでしょうが、汚染が原因で様々な病気になり、死に至った人たちは大勢いらっしゃいます。
それだけの大災害に対して、私たちは未だに具体的な解決策を持ち合わせておりません。手がつけられないのです。原発が海沿いにあることを考えれば、次に何か起きたときは海が危ない。海という畑でものが獲れなくなる日がやってきます。これは大騒動でしょう。
談合
一つの企業が何かで失敗したら、その企業は普通、責任をもって自力で対処しようとしますよね。ではなぜ東電のときだけ政府が出てきたのでしょう。最近のニュースによると、大きな会社が一つ破産に追い込まれました。エアバックを作っているタカタという超優良企業です。一つのミスで大損害を被りました。
東電はどうでしょう。もし東電が窮地に追い込まれ、破産したら、政府は「日本の電力が困る」と言うかもしれません。しかし、それは日本的発想です。新しい会社なぞ、すぐに出てきます。そもそも電力会社はそんなに大きくなくて良いのです。自分たちの地域で必要なだけ電力を作り、それを消費すれば良いのです。
日本政府にはその発想が欠けています。あったとしても大企業との長年の付き合いで、何も出来ないのでしょう。日本ではとにかく大企業は国が潰さない。潰すと国が危ないと錯覚しているのです。大きい銀行がつぶれると「大変だ」となります。しかし銀行は他にいっぱいありますし、失敗から学んだ新たな銀行が勢いよく登場する可能性もあります。
プロパガンダ
政府と大企業によるプロパガンダではないか、と思うこともたくさんあります。皆さん、3.11の後に何があったか思い出しましょう。原発に対する反対運動が日本中で起こりました。そのとき、「原発が使えないと、銀座や道頓堀のネオンサインが消えるのではないか」「一般家庭の冷房、暖房が困るのではないか」などと、盛んに言われましたね。計画停電なるものも実施されました。
さて、原発はこの数年間、全く動いておりませんが、銀座も道頓堀もキラキラし続けております。冷房、暖房も不自由なく使うことが出来ております。計画停電とは何だったのでしょう。ネオンが消えると言ったのは何だったのでしょうか。
日本人は大真面目ですから、一生懸命になって電力節約を行いました。その結果、電力会社の売上が減ってしまったのでしょう。その後に電気料金が上がりました。頑張って節電をして、電気料金が上がっていく。これは茶番ですか。私たち国民をバカにしているのですか。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2019年3月上旬号「原発密約とパリ協定」-3
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。