海洋資源
日本の周りには海洋資源がたくさんあります。しかし、何百メートル、何千メートルの深さのものを採掘するのは大変ですし、採掘したものを運んでくるのも決して簡単なことではございません。そこで、海洋資源の開発と採掘は、経済的に見て本当のところはどうなのだろう、収益をもたらすのだろうか、といった疑問を時々聞きます。
しかし、日本にとっての資源開発は最重要課題です。資源があれば事情は異なるのでしょうが、資源のない日本にとっては死活問題となります。ゆえに、目の前のお庭を着実に開発し、掘っていくことは賢明な選択だと思います。お月さまに行くよりもです。月は誰のものか分かりませんけれど、領海は自分のものです。その海底に眠る鉱物は日本の所有物となります。
海底には、私たちが求めて止まないレアアースがたくさんあると思います。それから天然ガスや石油も出るかもしれません。その他もろもろ宝の山でしょう。あとは日本政府が根性を入れて、その海域を日本の領海としてしっかりと守り、資源開発に集中することが必要です。
領海侵犯
中国は日本の領海に我がもの顔で侵入を繰り返しております。領海侵犯です。中国の狙いは海洋資源です。
これに対し、日本は断固として反対せねばなりません。南シナ海で起きていることは有名です。彼らは今、島までも自分たちで作り、そこに軍事基地を作っているのです。それに対してアメリカもロシアも何も言いません。日本もほとんど何も言っておりません。そんなことだから、日本の場合もほっとかれてしまうのです。
話せばわかるは効きません。日本も自分たちで堂々と船を出し、そこに資源開発基地を作って、掘り出せば良いのです。自分たちの庭ですから気兼ねする必要はありません。
当たり前でない世界
広い海を持つ国は相当なレベルの潜在力を持っております。日本もそうでしょう。実際日本はその力を存分に生かしながら世界有数の先進国になりました。
しかしながら、私たちにとっての海はあまりにも身近なために、「日本が海洋資源大国である」という事実を忘れてしまっているのではないかと思います。日本人の多くが海があって当たり前、美味しくて新鮮な魚があって当たり前だと思っております。しかし世界の現状からすると、それは当たり前ではありません。
私たちの意識を海洋の有り難さ、海洋安全保障の重要性に集中する時がきているように思います。日本には領海と排他的経済水域があります。それを領土の一部として見ると、日本は世界で6番目ぐらいに大きい国なのです。しかもそこには莫大な資源が眠っている。日本にはそれを掘り出す技術もあります。生かさない手はないでしょう。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2019年2月上旬号「クジラと海洋資源争奪戦」-5
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。