元凶
最近の日本では、いじめやパワハラが大問題になっておりますが、その根底には何があるのでしょうか。
そこには歪んだ自己愛、自己中心主義、そして嫉妬や妬みといったものがあるのでしょう。会社を例にとってみますと、上司と部下がきちんとした人間関係を築けていない。それも大きな原因の一つでしょうです。ひと昔であれば当たり前だったことが、今は全く出来ていないのです。
しかしながら被害者の立場からすると、この状況は少しずつ変化してきたように思います。高性能の携帯が登場したことで、現場の写真も撮れますし、録音もできるようになりました。ゆえに事件や出来事を「もみ消す」ということがなくなってきました。裁判でもそういった証拠を重視します。おそらくねつ造もあるのでしょうが、そういう手段が発達しているというのが重要です。
元憲兵
私に対してパワハラをした人もいました。広告代理店に勤めていた時、ニューヨークで雇われて東京にやってきたんですが、そこの部長さんが元憲兵でした。彼は、会議などをやっていて自分の意見が通らなかったり、西が反論したりすると、テーブルを叩いておりました。
威圧的でした。昔の憲兵が悪い人を掴まえて尋問をする感じです。でも私はびくともしないのですよ。「このおっちゃんはどうしたのだ。何で話ができないのだろう」などと思っていました。そして「部長、こうこうこうで、こうなのではないですか」と言うと、「俺の言うことが分からないのか!」といって、机を蹴飛ばしておりました。
部下が反論するということがもう嫌なのですね。憲兵に向かって何を反論するのだと、そんな感じでした。
学内政治
大学の世界でももちろんあります。日本の場合は相当酷い。学部長ということで大きなパワーを持っていると錯覚していた方がおりました。私は基本的には学術研究がどれだけ素晴らしいかで研究者を評価しますが、何もない茶坊主なのに学部長になってしまった人です。そんな人がパワハラ、アカハラを行うのです。
日本の大学では日常茶飯事で行われております。学生目線からも「何でこんな人が組織のトップに立つのだろう」と思う人は多いのではないか。皆さんの時代はどうだったでしょう。
日本の大学はもっと学術研究をしなければいけません。ドロドロした学内政治に力を注ぐべきではありません。そんなことばかりしているから、日本の大学は世界で太刀打ちできないのでしょう。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2018年11月上旬号「働き方改革と歴史」-2
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。