From: 岡崎 匡史
研究室より
戦争は「心理戦」。
敵国を混乱させるには、どうすればよいのか。
その一つの手段が、攪乱工作。プロパガンダや偽情報を流す。
現代の日本でも、怪文書が流れるように、宣伝謀略のたまに印刷物(ビラ)を撒く。軍事戦略の上では「伝単」(でんたん)と呼ばれる。
しかし、ビラを撒いても、敵の目に留まらなければ、紙の無駄遣いになってしまう。効果的に、宣伝ビラを読ませるには、どうすればよいのか?
それは、お札を使うことです。お札が道ばたに落ちていたら、誰でも、天からの恵みだと拾ってしまいます。しかし、そこに罠が仕掛けられている。私が保有している伝単をご紹介します。
偽札
表面
日本人諸君!
銀行や債券に入れた金は何の役に立ちますか。今日の必要品、又は将来使用する様な物は今の中に買って置きなさい。残品は少なくなりました。
空爆の為、多くの店は閉ぢ、或ひは短時間しか開けられていない様になります。この困難なる時期を凌げる様、食物、着物、日用品等を買ひ給へ、お金は飢を癒やしたり、着物としては使用出来ません。債権で泣く幼児をなだめる事は出来ません。賢者であれば、今金を貯めず、品物を買ふでせう。今はお金の時代ではありません。物の時代です。
ー岡崎 匡史
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。