先進国と発展途上国
ものすごい勢いで人口が増加しているのは発展途上国です。大陸別に見ると、アジアとアフリカが膨大な人口を抱えております。発展途上国の多くは、第二次世界大戦後に植民地支配から独立した国々です。社会基盤が整っていない状況で人口が増加しました。その一方で、欧米列強と言われたヨーロッパや北米大陸は、人口減少が予測されております。
この差はどんどんと広がっていくでしょう。先進国は、自国の技術力と財力が少しありますので、これを使って人口を増やすというより、人口をできるだけ維持していく方策を探るでしょう。発展途上国は食べることで精いっぱい。
資源の呪い
途上国には資源がたくさんあります。南米やアフリカが良い例です。しかし、素晴らしい資源があるにもかかわらず、なぜ貧しいのか。それは、多くの資源を私たち先進国の人間が必要としているからです。途上国からの資源で豊な暮らしを実現しながら、私たちは同時に「アマゾンの密林を守れ」、「アフリカの貧困に手を差し伸べよう」などと言っているわけです。
その土地に住む人からすると「ふざけるな」の世界でしょう。先進国の人間は、自分たちの生活のために、森林を壊して、ゴムの木や果物などの作物を作ります。しかしそれらは現地の人のためではなく、先進国の人のためです。
途上国の人々が自分たちの生活を守ることを優先し始めたらどうなるのでしょう。先進国の豊な生活は維持することが難しくなります。
援助疲れ
そうならないために、日本もアメリカも、そしてヨーロッパの国々も、途上国に対して様々な援助を行ってきました。しかし何年経っても、大きな効果が出ていない。先進国は「援助疲れ」のような状況です。
一方の途上国は、援助がもしなければ、自然破壊や環境汚染も進むし、温暖化が進展しますよ、と脅しのように言う。中国は石炭を燃やすことを止めていません。もし止めて欲しいのであれば、資源を下さい。天然ガスを送って下さい。そんな世界です。
誰が現在の地球環境問題を引き起こしたのか。この貧しさの責任は誰なのだ。先進国と途上国の格差の背後には、責任論がずっとつきまとっています。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2016年6月上旬号「人口爆発」-3
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。