占領賛歌
5月13日、吉田は、秋田市での参議院選挙遊説で、またマッカーサー占領政策の「讃美」を始めた。
「日本が戦前のように発展してきたのも、ひとえに外国、特に米国の援助があったからである。私の計算によると少なくとも25億ドル以上の援助を受けている」(25億ドルは、当時の金額で9000億円、日本国民総生産の4分の1)
「講和を促進するためには、われわれが独立の精神を堅持し、国を護る愛国心を発揚することである。自ら立つ覚悟と勇気がなくては、外国がわれわれを援助するはずがない」
少年と大人
「次に日本の道徳文化を高めることである。文化の中でも特に技術の点では、私の親しい米国人の話では......現在では日本との間に50年の差が見られるといっていた」
この「親しい米国人」というのは、「50年間日本を完全に放置したところで第四流の軍事国家以上になれない」と言ったマッカーサーだったのだろうか。
老獪総理
吉田首相は、さらに続けて、国民が神経質になっている基地問題についてより解り易く説明する。
「野党側では中立宣言をしたらどうか、軍事基地を拒否したらどうかなどといっているが、大体交戦権もないのに中立宣言までしたら世の笑いものになる」。
吉田は、日本にアメリカ軍の基地を置くのかどうか、まだ答えていない。この上手な逃げを、バターワース国務次官が「老獪に言明を避けている」と言ったのだ。
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。