没個性
(2) 「日本国民は人間性・人格・個性を十分に尊重しない」
人間には「特有の自由意志」がある。
人間は「その生活が道理にかなうように、正しく善くあるように、美しく心地よくあるように、信心深くつつましやかであるようにと願い、かつ努力する」と続けている。
こうした文化的な働きが人間性であり、それらを伸ばしていくところに「人生の目的」があるという。
さらに、「人格」とは、合理的精神の表われである。だから、「いろいろなはたらきが互いに分裂したり矛盾したりして統一がないものは人格もないのである」。
日本国民は非合理で、人格もなく、その行動は野蛮だ、という。
主従関係の弊害
「個性というのは、人間の一人ひとりに独特の性質という意味である」。
だが、個性は文部省にとって定義するのが困難な概念であった。個性を育んだ実践体験がなかったからだ。
もし人間性、人格、個性が尊重されない時は、人間関係が殿様と家来の関係になり、貴重な個性が伸びることを阻害してきた、と文部省は警告した。
「鬼畜米英」に無条件降伏した恥辱で金縛りにあったような文部省は、「この弱点が軍国主義者や極端な国家主義者に利用せられたところに、戦争が起こった原因もあり、敗戦の原因もある」と教師たちに語った。
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。