力の論理
核兵器を保持することで、本当に平和を保つことができるのか。日本は、広島・長崎と原爆の被害を受けた唯一の国です。強い武器、すなわち核兵器で平和を獲得するという考え方は頭では理解できます。しかし、感情が追いつかない。会員の方からの鋭いご指摘を頂きました。
皆さん、私たちは「明治維新」はすごかったと言いますが、あの明治維新が完成したのは幕府軍を倒すことができたからです。では、どうやって倒したのか。武器です。
勇敢な侍たちは刀でしたし、銃を持っている場合も火縄銃が主流でした。しかし薩長土肥はイギリスやアメリカからいろんな銃を仕入れているのです。例えば連発銃です。1回で8度も撃てる銃です。アームストロング砲もあります。この大砲は、幕府が持っている大砲の10倍の距離を飛ばします。ゆえに幕府軍は武器で負けたのです。
武器や兵器は戦争があるたびに進化します。広島と長崎に落とされた原爆は、今の水爆と比べると、非常に大きな違いがあります。広島・長崎に落とされた威力の数百から数千倍の威力があると言われております。この差は相当なものです。
国防意識
もう1つ、戦争が起きたら、日本は一発でやられます。なぜか。経験のなさです。私たちはほとんど銃を見たことがありませんし、撃ったこともありません。さあ戦争だと銃を渡されても、私たちは撃てません。練習もしていません。
皆さん、お金持ちが私たち貧乏な平民に向かって「お金は大切ではない。皆さんの人生にはほかに大切なものがあります」と言ったとします。それはあるでしょう。しかし、スーパーに行って買う金がなかったら、お金は大切ではないと言えますか。同じことが武器にも言えます。武器がないということは、お金をとりあげているのと同じです。
別な例を出しましょう。例えばこのカッターナイフですが、私はいつもこれを成田や羽田で没収されます。筆箱に入れていつも忘れているからです。これを取り上げて、日本は平和ですか。私たちはそのレベルです。だから、世界各国・地域から相手にされないのです。
相手にされていないというのは、「あそこは放っておいても大丈夫。後で占領品として取りに行こう」ということです。日本には世界が欲しいものがたくさんあるのです。皆さんの頭脳も、世界が欲するものの一つです。

核兵器
実際に戦争が起こって、日本に核爆弾が2~3発落とされて何百万人が死ぬ。その時、「やっぱり核が必要でしたね」と叫ぶのですか。カリフォルニア州と同じ大きさのこの小さな島に、100万、200万、300万人の死体が累々と並び、初めて「軍隊を持ちましょう」、「核兵器を持ちましょう」では遅いのです。
北朝鮮に遊ばれていますよ。あれだけドンパチ、ドンパチ原水爆の実験を行い、日本海にダーンと、時には三陸沖までダーンと飛ばしていますが、誰も手が出せないのです。日本の総理大臣たちは「非常に遺憾です。ああいうことをするとは」と言っていますが、相手はそれを聞いて、「はい、止めます」と言ったことはあるのですか。ないでしょう。
私たちは自己満足しているのでしょうか。何も武器を持っていないのに優越感を持っているのです。優越感に浸りながら殺されますよ。
西鋭夫のフーヴァーレポート
プーチンと核兵器(2022年6月下旬号)-4
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

