原因はどこにあったのか
トランプさんがNATOに対して、「おまえたちはもっとお金を出しなさい。お金を出さないで、俺たちに守ってくれと言う。こんな不公平でばかげた話があるか」と言い出しました。それを聞いて、NATOの国々は激昂したと思います。しかし、背に腹は代えられない。結局、渋々とお金を出し始めました。
一方、プーチンさんの方は、「NATOは何を張り切っているのだ、このやろう。なぜウクライナにどんどん近づいてくるのだ」と思っている。そしてウクライナもウクライナで、NATOに入りたいと言っているわけです。そんなものを許すわけがありません。ですから、戦争になったのです。
ところで、この戦争は大きく報道されていますが、現状ではまだまだ非常にスケールが小さい。死者も少ない。日本は何百万人死んだのですか。アフガニスタンやベトナム戦争はどうだったでしょう。そうした戦争に比べると、この戦いはまだスケールが非常に小さいのです。
端的に言えば、近所喧嘩のようなものです。ただし、けんかを仕掛けた相手がだいぶ大きな巨人、ロシアだった。ウクライナは口は達者だが力がない。金もない。武器も持っていない。

悲劇の始まり
ウクライナの悲劇は、ソ連が崩壊してロシアになり、ウクライナが独立した時にありました。その時、ウクライナはソ連の原水爆を1,900発、持っておりました。これは大騒動でしょう。
そこでアメリカとロシア、そして英国がしゃしゃり出て、「ウクライナさんよ、おまえたちはそんな危険なものを持ってはいけないよ。絶対に俺たちがおまえたちを守ってやる」と約束したのです。ロシアも約束しています。
それでどうなったか。核ミサイルを取り上げたら、この戦争です。取り上げていなければどうなっていたか。近所喧嘩だったとしても、ロシアはそう簡単に手は出せなかったはずです。
ロシアの狙い
では、プーチンさんは何を狙っているのか。実はもうウクライナのことなど、ほとんど考えていないのではないかと思います。なぜ長引かせているのでしょう。ズルズルと引きずって、ウクライナではゼレンスキーさんが悲鳴を上げてあちこちに「助けてくれ、助けてくれ」と言っている。アメリカも今、国の中が大騒動です。ヨーロッパもこれから冬が始まるという時に、エネルギーをどうしようと、そんな状況です。
原発をやめたドイツなどは石炭を掘り出しました。石炭に頼るのは脱炭素化、地球温暖化防止の逆を行っているのではないですか。ドイツが石炭を掘り出せば、よその国も堀りだしますよ。
プーチンさんから見ると「だから言っただろう、おまえたち。バカだな。ひざまずいておいで。天然ガスをあげるし、石油もあるぞ。小麦もある。欲しいだろう」。こんな世界です。そうすると日本はどうするのでしょうか。私はもう、完全に「ど阿呆!」と思っています。なぜ口を出すのか。手を出すな。足を出すな。ブーメランをプーチンさんに投げて、全部私たちにはね返ってきております。
西鋭夫のフーヴァーレポート
プーチンと核兵器(2022年6月下旬号)-2
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

