プーチン大統領の思惑
ウクライナをめぐり、世界は混沌としております。再び、核兵器の脅威が高まっております。フーヴァーレポートの会員の方から「プーチン大統領は核兵器を使用するのでしょうか」と質問を受けました。答えは誰にもわかりません。
しかし、少なくとも次のようなことが言えます。プーチンさんは今、おそらく最新鋭の小型の核兵器を持っていますが、それを実際に使ったら、そこから第三次世界大戦に発展する可能性があること。そして、核を持っている国々がそれに応じて使い始めるかもしれない、ということです。
そうすると、プーチンさんが「使うぞ」と脅しをかければ、ロシアが負けることを期待していた国々、これは日本もひっくるめてですが、戦慄が走ります。「プーチンにもう少し圧力をかけたら、本当にキレて、核のボタンを押すかもしれない」と、そう思うのです。その結果として、「プーチンを懲らしめてやろう」、「プーチンに対して核兵器を使おう」などとは思わなくなります。

第三次世界大戦の可能性
ところがプーチンさんは核を5,000~6,000発持っているわけです。いや、万単位で持っているのではないでしょうか。そうすると、彼が一つでも使えば、世の中が終わりという感じです。アメリカも使う可能性がありますし、イギリスもフランスも同じです。日本はどうするのですか。憲法9条で「平和でござんす」などと言えますか。唯一の被爆国として、ロシアを、アメリカを、そしてイギリスやフランスなどを批判するのか。
究極のところ、プーチンさんが核兵器を使うかどうかは誰にも分からないのです。使ったら、第三次世界大戦になり、私たちが生きている間に世の中の終わりを見ることになるかもしれません。彼もそのことを十分にご存知でしょう。
はったり戦略
しかし、プーチンさんは相当賢い。彼は「核を使用する準備をせよ」と部下に命令しているわけですが、ロシアが本当に何をしでかすか分からないという恐怖感を、世界全体が持っているのです。これが作戦です。
「あの男を本当に怒らせると、あいつは使うよ」という意識になっているのです。裏ではおそらくニコニコしているのではないでしょうか。「ウクライナのゼレンスキーよ、もっと何か言え。過激なことを言え」という具合です。同じことは対NATOにも言えます。使うかもしれないとけん制したことで、誰も身動きできないのです。
西鋭夫のフーヴァーレポート
プーチンと核兵器(2022年6月下旬号)-1
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

