政界のフィクサー

by 西 鋭夫 January 29th, 2026

笹川良一

1978年、「政界のフィクサー」と呼ばれた笹川良一さんに勲一等瑞宝章(くんいっとうずいほうしょう)が贈られました。彼は日本の戦後史を少し勉強すると、必ず出てくる人物です。存命中から政界のフィクサーとして、また日本モーターレースのドンとして有名で、とにかくお金儲けがお上手でした。その札束でもって絶大な権力を振るっていたのだと思います。

多くの政治家も笹川さんを怖がっていたのではないでしょうか。あの人はA級戦犯です。岸信介さんとも監獄での友達です。その男が出てきて、私たちが口にするのも恥ずかしいような商売に手をつけました。日本人の若い女性をアメリカ兵の慰安婦として差し出す組織を作り、それを運営したのです。俗にいう風俗で儲け、ギャンブルで儲け、多額の財産を築きました。

怖いものなしという状態です。私たちのように、いろいろなことをするのを怖がっていては、あの当時、お金儲けになりません。それをやったのが笹川さんでした。

 

受章の背景

受章は笹川さんが亡くなる前です。リストに名前を出したのは、前も言いましたが政治家の皆さんでして、その中でおそらく大変お世話になった人たちが「良一さんにもあげよう」とやったのでしょう。そんな世界です。

ですから皆さん、「勲章、勲章」と騒ぐ必要はないのです。それがもらえるような人は、この話を聞いて重々お考えになってください。勲章をもらうことで、あたかも負の歴史やマイナスの歴史を隠蔽するかのように用いられることもあるのです。

人間というのは、地位が高くなれば社会に対して影響力を持ちます。しかし同時に、マイナス面も背負うものなのです。

 

日本本来の姿

日本は勲章がなくても平穏な国だったわけです。人それぞれで根本的な部分に大きな差はありません。イギリスを見てください。いまだに貴族と平民があります。これは一生変わりません。貴族の僕ちゃんお嬢ちゃんは、平民の僕ちゃんお嬢ちゃんと結婚しませんし、許してももらえません。

日本は、もっともっと大きな和の国で、政治の親分さんたちがそれほど威張っていなかったのです。まず数が少なかった。今のように、国家機構の上の方にいて政治を司っている人たちが、自分の給料やボーナスをもらいすぎているような国ではなかったのです。これはすでに異常ですよ。数が多すぎる。

日本の面積はカリフォルニア州より小さいのに、アメリカの国会議員の数と日本の国会議員の数を比べると、日本の方が多いのです。すなわち、どれだけ私たち一般庶民が「あれしろ、これしろ」と規則に囲まれて暮らしているかがわかるでしょう。マスクだってそうです。アメリカはもうマスクなしの日常です。日本では偉い先生が言うから、マスクしないといけない。そういう雰囲気ではないですか。

私たち一人ひとりが、自分の頭脳や心意気をもっと意識して、架空の名誉に振り回されないようにすることが大事なのです。名誉を欲しがると、名誉を与える側の奴隷になります。それが怖いのです。そして、いつの間にか日本の戦前を肯定し、「真珠湾攻撃、万歳」となってしまうのではないかと思います。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
勲章と権力(2022年4月上旬号)-7

 

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。