誰が受章しているのか
日本では年2回、4月と11月に叙勲の受章者が発表されます。満面の笑みを浮かべた叙勲者の姿が、テレビや新聞で報道されます。「西先生もいずれもらうことになるのではないでしょうか」と聞かれることもあるのですが、その可能性は全くありません。ゼロです。
年齢を重ね、すでに「名誉」や「富」を手に入れた方々が最後に望むものが勲章です。実際、勲章というもののほとんどは何らかの分野で大成功を収めた人たちか、政治家や高級官僚らに授与されております。これが日本国民を少しいじけた存在にしているのではないかと感じています。
私は勲章そのものに反対しているわけではありません。ただ、もし勲章を授けるのであれば、困った人を50年、60年と助けてきた人、あるいは年間1億円ほどを、食べ物もない大勢の人たちのために使っている人、そうした社会的に国民のためになる行いを続けてきた男や女にこそ与えるべきではないか。そう考えるのです。
受章の理由
私も日本で育っていますから、若い頃は勲章と聞くと「わあ、偉いな」と思っていました。しかし年を取るにつれて、「あの勲章というのは、一体どういう意味を持っているのだろうか」と考えるようになりました。文化勲章やオリンピックの金メダルは分かります。では、一般の勲章をもらった人たちは、日本のために何をしたのでしょうか。
「日本を有名にした」ということであれば、スポーツで活躍した男や女がいます。そういう人たちに、若い時でいいから勲章をあげればいいのです。何も70歳、80歳まで待つ必要はありません。20代、30代で日本を有名にする運動選手、音楽家、そういう人たちに勲章を授けてください。年を取った政治家や官僚に与え続けなくても良いのではと思います。
皆さん、勲章にはランクがあります。私は一時期、そういうものを覚えるのが好きで全部覚えていましたが、今は心してすべて忘れました。ですから、もし仮に「おまえに勲章をあげる」と言われたら、こういう性質ですから、おそらく「ありがとうございます。ご辞退させていただきます」と申し上げるでしょう。
受章後の人生
私の知っている、ある有名な大学の学部長先生がいました。業績はゼロに近かったのですが、学内政治が非常にお上手だった。その方が退職され、80歳前後で陛下から勲章をもらえることが分かり、友人たちに自慢していたところ、その全員が「おまえ、それはもらうな」と言ったそうです。
「なぜだ」と聞くと、「勲章をもらうと、天皇陛下から認められたと勘違いしてしまう。そして、これで自分の一生は終わりだと思い、多くの場合受章後、2~3年で死ぬらしい」ということでした。だから、これを聞いておられる方で、勲章をもらえる立場にいる人は重々お考えになった方がいい。もらうと2~3年で、いわゆる満足をして死ぬのです。
「やり遂げた」と思ってしまうのですね。しかし皆さん、やり遂げない方がいいのです。その方が長生きできます。
西鋭夫のフーヴァーレポート
勲章と権力(2022年4月上旬号)-1
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

