オバマ大統領
世界を驚かせ、そして幻滅させたのが、アメリカのオバマ元大統領の受賞です。オバマさんは大統領に就任した2009年、まだ1年も大統領の職務をしていないうちに、ノーベル平和賞を頂きました。本来、ノーベル平和賞は、有名な人間に与えるのではなく、人間の成し得たこと、業績に対して贈られるものです。

米国民もこの受賞には呆れておりました。ところがです。日本のマスコミはどこかと組んでいるのでしょうか。オバマさんの宣伝ばかりやり、大盛り上がりでした。何を勘違いしているのでしょうか。
あのオバマさんという人は、私は裏で何か悪いことをしているのではないかと思っていたくらいです。大阪弁で言う「ええかっこしいのあかんたれ」というやつです。表面的には何か当たりがいいのですけれど、あいつは裏があるのではないかと思っていたのです。これは選挙の時からです。
盗聴
案の定、大統領になって色々とわかってきたのは、日本の安倍総理、ドイツのメルケル首相、そのほかあちこちの国のトップの方々の携帯を盗聴していたことです。よく安倍さんは怒鳴りつけなかったなという感じです。おとなしくしていました。メルケルさんも「非常に憤慨だ」と言いながらもおとなしくしていましたね。
アメリカが持つ「裏」の力はすごいのです。安倍さんにせよ、メルケルさんにせよ、「うるさいな、おまえたち」と黙らせたのでしょう。
そのオバマさんがノーベル委員会から朝、電話がかかってきた時に、非常に驚いたなどと話していましたが、もうはちゃめちゃです。アメリカ国民もびっくりです。結果として、30%ぐらいの米国民は「ああ、もらってよかった」と思っているのでしょうが、60%ほどは「何でもらうの。もらう理由はないでしょう」です。
増える核兵器
私は完全にオバマ大統領は辞退するのではないかと思っていました。大統領になってまだ1年ですよ。何もしていないのです。そんな中でノーベル平和賞をもらうわけです。何の平和賞ですか。
オバマさんは「国連うんぬんが大切だ。世界はこれから核兵器のない世界をつくるように頑張りましょう」と言っただけです。そう言いながら、米国が4,000発、5,000発の弾道ミサイル、その上に原爆や水爆を搭載可能な弾道ミサイルを持っているのです。10基でも20基でも100基でも「破棄する」と言ったのですか。むしろ世界の核兵器の数は増えているのではないですか。
その後、オバマさんは8年間大統領をされますが、その間一度もノーベル賞の「ノ」の字も言われませんでした。おそらく自分が何もしていないことを自覚していたのでしょう。ところが、在任期間も残り少なくなってきたとき、現職の大統領として広島を訪問されました。何もしていない自分を変えたかったのか。これもまたレガシー作りではないのか、と批判されました。
西鋭夫のフーヴァーレポート
ノーベル賞と日本の未来(2022年1月下旬号)-7
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

