新しい憲法を

by 西 鋭夫 October 23rd, 2025

決断

2017年5月、安倍総理は日本国憲法の改正を視野に入れながら「2020年に新しい憲法を施行したい」と意見表明いたしました。どうしてこの時期だったのか。これはおもしろいタイミングであります。おそらくアベノミクスの失速を隠す、という狙いもあったと思います。施行するタイミングについては東京五輪が開催される年ですから、新しい日本をアピールする点でも絶好の機会でしょう。

では、憲法改正の本質とは何でしょうか。それは、日本国憲法の致命傷はGHQが1週間で草案を書いた、という点にあります。1週間ですよ。当時、外務大臣だった吉田茂はこれで顔を殴られ、痛くて涙が出るわけです。内容を読むと、天皇陛下が「象徴」と書いてある。松本烝治も吉田とともに一緒に泣いたと思います。あまりにもショックが大きすぎて泣くのです。そんな憲法を、私たちはこの70年間ずっと使っているのですよ。

それを今回、総理が作り直そうと言った。これは英断です。



改正からの逃亡

私が言いたいのは今の憲法は「破棄する」、そして「新しく書き直しましょう」ということです。何を入れたいかはまだわかりませんけど、新しく書き直しましょう、という姿勢が決定的に重要です。

この作業に5年かかるか、10年かかるか知りませんが、70年間、改正もせずにずっと使っているのが大問題なのです。もう賞味期限は切れております。あの憲法はマッカーサー元帥の夢物語を書き込んだ憲法なのです。今の世界、そういう世界ではないのです。とっくの昔にそんな世界は終わっております。現状に合わないのです。

現状に合わなければ、書き換えるか、あるいは条項を足せば良いのですが、それも全くしないまま政治家も国民も逃げまくってきました。

あの憲法があるから「平和」だと思っている人、ちょっと正気になりなさい。あんなもので平和が保たれているのか。私は「ノー」と言いたい。日本が攻撃されないのはアメリカ軍がいるからです。それをまた70年間、続けるのですか。お金は誰が出すのですか。もう少し私たちはお金の話をしたほうがいいです。金の話をしないと高尚と錯覚していますけど、そうじゃありません。今の憲法で、どれだけ私たちは金を使わされているか。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
憲法改正(2017年5月下旬号)-1

 

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

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1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。