ナチスの亡霊

by 西 鋭夫 September 29th, 2025

メディアが映し出さないも

ウクライナについて詳しく知っている人たちのグループがここアメリカにありまして、先日、ウクライナ軍についての色々な事実を発表しておりました。

まずはウクライナ兵が使っているヘルメットです。皆さん、戦争をやっているのに、ウクライナ兵そのものを見たことがないでしょう。彼らは昔のドイツ兵がかぶっていたへりが少し広がったヘルメットをそのまま使っております。そのヘルメットは戦場では非常に優れておりました。伏せた時、アメリカや日本のヘルメットでは耳のあたりがあいてしまうのです。しかし、ドイツ製のものは側面が外へ張り出していて、そこに何も当たらないという素晴らしい工夫がある。特に手りゅう弾の投げ合いをする時などは最高の形状です。

もう1つ映像に出てこないのは、ウクライナ兵のヘルメットにナチスをモチーフにしたデザインが入っているところです。そんな映像を流したら、プーチンさんが言っていることが本当だと誰もが思ってしまうでしょう。だから映像では出せないのです。

戦争の映像なのに、なぜ朝から晩まで「女と子どもがかわいそう」という場面ばかりなのか。よく考えてみてください。戦っている兵士の姿を映さなければならないはずですが、それができないのです。

 

ウクライナはなぜ重要なのか

現在、停戦交渉が行われていますが、話し合いで物事が決着するのかどうか。結論から言えばかなり難しいでしょう。大きな戦果を挙げなければ決着はつかないのです。プーチンさんが「経済封鎖で苦しいからここらで話をつけよう」と言ったとしても、一旦話をつけておいて、また続けますよ。その間にウクライナへの同情で集まっていた資金や支援も途切れていくのです。

では、なぜウクライナがロシアにとって、そして世界にとって重要なのか。あそこには世界一の小麦畑があり、世界2位のトウモロコシ畑があるからです。一方、ロシアは世界一のトウモロコシ畑を持ち、世界2位の小麦畑を持っている。この2つでヨーロッパを養い、日本の台所事情を担っているのです。アメリカからではないのです。ちなみに、アメリカはいま大干ばつでして、大騒動が起きています。作物が採れないのです。本来なら、こうした事実を同時にニュースで流せばいいのですが、そうなっていません。

ヒトラーがウクライナを欲したのもほぼ同じ理由です。ドイツ国民が健やかに生活するには小麦が必要だった。だからナチス・ドイツはワーッとウクライナへ進撃した。第三帝国の命綱だったわけです。

日本が満州に進出したのも同じ構造です。人口が増えすぎて食料が足らなくなった。そこで「満州に行けば土地をあげる、農地をあげる」と言われ、お百姓さんたちは実際に土地を与えられました。しかし、その土地は何百年もの間、中国人や満州人が耕していた農地だったのです。

 

世界の真実

戦争や政治なんて、裏の世界を見ていくとどれも同じ構図です。高尚な理屈を振りかざす必要はありません。何が民主主義ですか。どこで本当に民主主義をやっているのですか。ウクライナが民主主義の象徴なのですか。ゼレンスキーは自分に反対する政敵を監獄に入れ、批判するマスコミを潰しておりますよ。最初にマスコミと政敵を処罰するのは、もちろん民主主義の基本に反します。ですから気をつけなければいけません。

ゼレンスキーの姿を見て涙を流す、それだけではいけないのです。プーチンが停戦できないのは、キエフに新しい親ロシア政権をつくらなければならないからです。そして、キエフそのものを潰さないのは、後で使いたいからです。日米戦争の時も、アメリカは皇居周辺の大きなビル群を空爆しませんでした。なぜか。戦争に勝った後、マッカーサーが皇居のすぐ前でそれらを使うつもりだったからです。キエフも同じです。完全に潰さず、新しい首都として利用できるよう残しておくのです。

戦争をする首相、大統領、主席といった連中は「次にどうするか」という計画を常に持って動いているのです。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
ウクライナ分割案(2022年3月下旬号)-3


 

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。