オズワルド
ケネディ大統領は後ろから頭部を撃たれて、さらに前からも撃たれた。つまり、銃弾は二つの異なった方向から飛んできたということです。ところが、犯人はリー・ハーヴェイ・オズワルド、1人だとされた。これは一体どういうことなのか。
すでにこの時点で白々しかったのです。今になって気づいたわけではありません。オズワルドは元アメリカ海兵隊員でしたが、射撃の成績は非常に悪かったと言われています。それに共産主義が大好きで、当時のソ連、つまりロシアにたびたび行っていました。妻はロシア人です。暗殺の前にはメキシコへ行き、メキシコのソ連大使館にたびたび出入りしていたと言われています。これはFBIが調べたことです。
現場はダラスの大通り。ケネディ大統領はオープンカーの左側、ジャクリーン夫人は右側に座って、沿道に手を振っていました。そこへ6階建ての古い教科書倉庫の上階からオズワルドが狙ったというのです。しかも使ったのは最新型の銃ではなく、かなり古いイタリア製のライフルでした。暗殺者は大抵、頭を狙いますが、この時もそうでした。
奇跡の命中とその後
80メートルも離れた場所から、動いている人間の頭を古いライフルで命中させる。これは「よく当たったな」という距離と条件です。そうすると銃に詳しいアメリカ国民は思うわけです。「そんな銃でもって、どうして動いている人に二発も当てることができるのか。無理ではないか」と。
彼はこの銃で三発撃ったとされます。一発は命中しましたが、あとの二発はどこへいったのでしょう。自動車にも当たっていない。となると、前方からの銃撃があったことになります。だから銃マニアの多いアメリカ人たちは「これはおかしいぞ」となるのです。さらに、現場では三、四発の銃声を聞いたという人も多くいました。混乱の中でも銃声は聞こえるものです。
オズワルドはすぐに逮捕されました。よく居場所が分かったな、というくらい早かった。しかし、ダラス警察はほとんど捜査をしなかった。「FBIに引き渡す」と言って、地下通路を通ってパーキング場へ連れて行くのですが、その通路は新聞記者やテレビ記者でぎっしりでした。人払いをしていないのです。
その群衆の中から、ジャック・ルビーという男が現れます。これは映像でも残っています。ピストルを手にしたルビーが、両手を押さえられて立っていたオズワルドの腹に向けて、至近距離からガン、ガンと撃ちました。即死です。このルビーという男は、元マフィアと何らかの関係があったといわれています。しかし、まともな調査もなく結局は獄中で死亡しました。
最初から何かを隠し、証拠を消すための流れだったとしか思えません。
西鋭夫のフーヴァーレポート
ケネディ神話の崩壊(2022年2月下旬号)-4
この記事の著者

西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。