平和教育の弊害
戦争が起きた時、日本には何ができるのか。日本の偉い先生方や内閣の皆さん、そして安倍総理、総理はすでにもう6年も首相を務めら、アメリカとの関係も非常に深いわけですが、そうした皆さんはおそらく、その答えを十分に把握しておられるはずです。
ただ問題は何かというと、戦後75年間にわたっていまだに理想主義にもとづく「平和教育」が行われていることです。その教育の中では憲法に一字一句触れない、変えないという姿勢が貫かれております。問題は9条だけではありません。あの憲法全体が問題なのです。
皆さんは私の歴史講座などでご覧になったかと思いますが、あの憲法はどんな形で作られたのですか。我々日本人は、顔を土足で踏まれ、吉田茂もマッカーサーに「これは秘密にしておけよ」とまで言われて、それで出来たのがあの憲法です。
そんなものを70年も掲げて「平和だ、平和だ」とやってきた。そのツケが出てきているのです。世界が恐ろしくなってきた今、日本はどう動くのでしょうか。攻撃されたらおしまい。アメリカが助けてくれなければ終わりです。こんな他力本願がまかり通るのなら、「日本人はバカか」と、私は本気でそう思います。
骨抜きにされた日本人
あれほど勇猛果敢だった日本人がどうしてここまで変わってしまったのか。日本人は本来、勇敢で、戦いも上手く、才能もあったわけです。それが今や、敵が来ても銃を持っていない、小刀一つ持っていても「それは暴力だ」と言われる始末です。そんなことで、どうやって国を防衛するのか。出来るわけがありませんよ。
戦後の日本人は他力本願となり、愛国心をタブー視するようになりました。愛国心がないというのは、つまり「自分の国にプライドを持っていない」ということなのです。それは私たちがそういう教育をしてきたからに他なりません。「最近の若いやつはダメだ」と言うおじさん、おばさんがいますが、「おい、ちょっと待て。その若者を育てたのは誰だ。教育したのは誰の責任なのだ」と、私は言いたい。
国家崩壊の方程式
いまの学校教育は、完全に受験中心に回っております。旧帝大、有名校、東京六大学、関西六大学など、そこに行かなければ「大学ではない」「賢くない」と思われている。そんな発想が平気でまかり通っている。
そんなものは必要ありません。広大なアメリカを見てください。学校に行っていない男や女、大学を途中でやめた若者たちが、どれほどの大成功を収めていますか。
ところが日本は小さな島国の中で「あの大学に行ったらすごい」「この省庁に入ったら勝ち組」と、そんな話ばかりです。視野の狭い価値観では、世界に通用する人材なんて育ちません。
本当に世界で競争できるのは、どういう人間なのか。その教育を日本はまったくやっていないのです。幼稚園から小学校、そして中高、大学までも全部含めて受験で動いております。これはもう国家崩壊の方程式です。
西鋭夫のフーヴァーレポート
日本の底力(2019年9月下旬号)-9
この記事の著者

西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。