問題の本質
当時、日本には非常に多くの朝鮮人が住んでおりましたが、日本人は彼らのことを差別の対象などとは見ておりませんでした。むしろ、大日本帝国の一部だと考えておりました。朝鮮は帝国を構成する一つの部分だったのです。
ところが、先ほどお話ししたように、その関係は戦後、ガタガタと崩れていきました。そしてその時、彼らがどんな振る舞いをするのか、私たちは大きな衝撃をもって目の当たりにしたのです。このことは兄から繰り返し聞かされました。
私は戦後に育っていますから、学校にも多くの朝鮮人がおりました。特に大きな違和感はなかったのです。ただ問題はここ30~40年ほどの動きです。韓国が経済的に発展してきて、「日本と肩を並べられるのではないか」と思い始めた時期です。貿易も盛んになり、日本と韓国はある意味で「対等」になろうとした。しかし思わぬところから問題が出てきました。韓国国内からです。
大統領選と反日
韓国では、大統領選のたびに「反日」が持ち出されます。反日を唱えることで、大統領になれるのです。大統領の人気が落ち始めると、またしても反日を引っ張り出してくるあり様です。この繰り返しをずっとやってきたように思います。
日本としては韓国と条約を結び、きちんと約束を交わしてきました。しかし、韓国側は都合が悪くなると、その約束を反故にするのです。日本人はもう疲れ切っています。いわゆる韓国疲れです。「もう、ええ加減にしてくれ」と。「安倍総理、何とかしてくれませんか」と、そんな空気が広がっています。ところが安倍総理の顔を見ると、おそらく彼も韓国と話す気はない。国交断絶というわけではないですが、「しばらく距離を取って、互いに頭を冷やしましょう」と、そういう雰囲気です。
ただ、問題は日本が静かになっても、韓国側からやってくるのです。現在でも慰安婦像だ、強制労働だ、などと何だかんだ出てきますが、皆さん、あれは本質的な意味での強制労働とはまったく違うものなのです。私は知っています。とんでもないですよ。これは韓国側の政治的工作です。
敗戦後の朝鮮人
やり方が非常に汚い。何が汚いかというと、第二次世界大戦が終わった直後という、その一点だけを延々と持ち出すのです。この70年間、日本と一緒になって経済発展してきたはずでしょう。その評価がゼロなのです。戦前の植民地時代の話ばかりをくどくどと持ち出してくる。日本国民はもうそういう話を聞きたくないのです。
あの時、日本は敗戦国でした。GHQ、つまり連合国軍総司令部の立場からすれば、当然、日本よりも朝鮮人に同情的になります。だから、日本人を責めていれば、周囲はみな喜ぶ、そういう空気があったのです。しかしその空気が、今もなお続いているのです。これはもう「解決」などできない問題だと思います。
西鋭夫のフーヴァーレポート
日本の国防(2019年9月下旬号)-2
この記事の著者

西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。