日本の現状
日本は世界有数のスパイ天国です。各国・地域のスパイの皆さんがうじゃうじゃいらっしゃいます。スパイと知らずに、協力している人たちも含めると大勢いらっしゃいます。明確に見定めることは難しいですし、敏感な人でもそれがスパイ行為にあたるかどうかなど、分からない場合も多くあると思われます。
例えば、ある国の知人、大学院時代に一緒に勉強した仲間としましょう、と久しぶりに会ってご飯でも食べようと誘われたら、行きますよ。懐かしいですし、嬉しい再会です。そこでご飯を奢ってもらって、酒を飲むことを2、3回でもやったら、自分では旧交を温めているつもりでも、情報漏洩している可能性があるのです。そんな世界です。
私が大学院を出た後にCIA局員から聞いた話ですが、「日本の代議士でCIAのスパイは何人いるのだ」と質問すると、「スパイではない、あいつらはお手伝いだ」と答えていました。では「何人いるのだ」というと、「もう10人以上いるよ」とのことでした。「誰だ」「教えないよ」「しかし、ここに俺がサインしたら教えるのだろう?」「もちろん」ということでした。皆さん、そんな世界です。これはもうずっと前の話ですが、あの時で10人以上ですから、今では相当な数だと思います。
読書の意義
では、庶民感覚で情報を読み解き、自分で考えるにはどうしたら良いのでしょう。会員の方から切実な質問を受けました。日本の主要新聞は私たちを洗脳し、ある一定の方向に誘導しようとしているのではないか、という問題意識です。
私は行く先々で新聞が置いてあると、いつも手にとってヘッドラインだけを読むようにしております。分析などは読みたくもありません。書いている人は本当にそう信じているのでしょうか。それとも社の方針でそう書いているのでしょうか。わかりません。
今はもう手の中にギガバイト、テラバイトの情報装置を持っておられる人がほとんどだと思います。それだけで十分です。新聞を毎日読まれるのだったら、何か好きな本を買って読んで下さい。スパイについて調べられるのだったら、スパイについての本を文庫版でいいですから1冊、1週間に1冊、それが難しい場合は、1ヶ月に1冊であっても読まれた方がはるかに賢くなります。新聞はもう主要な役割を終えたのではないかと私は考えます。そんなことを言うと、私は新聞社の人を何人も知っていますから叱られるかもしれませんが、情報量という点ではスマホに敗北です。
それよりも今もとめられるのは、新聞というより、しっかりとした読書です。人は読書をしながら考えているのです。この習慣をぜひ身につけてください。情報はどんどんと入ってきますが、現代人は自分で「考える」ことができません。自分の頭を使えていないのです。考えるために、人は読むのです。読書にじっくりと取り組んで下さい。
西鋭夫のフーヴァーレポート
日本の底力(2021年5月上旬号)-6
この記事の著者

西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。