From:岡崎 匡史
研究室より
日本人と「大麻」のつながりは深い。
「縄文」という言葉は、麻縄で土器に模様をほどこしたことに由来している。『古事記』や日本の神話にも、「麻」は登場してくる。
奈良時代の税負担が「租(米)・庸(労役)・調(絹・麻などの繊維)」であったように、麻は朝廷へ献納されていた。当時の衣服は、「麻衣」(あさごろも)と呼ばれていた。
麻と日本人
日本人の名前には、「麻」という漢字が使われることがある。
名字では、麻生・麻原・麻木をはじめ、名前では麻子・麻美・麻衣というように用いられている。
地名では、「麻布」というように「麻」という漢字が残っている。
これらは、日本において麻が、生活に身近な植物であったという証である。
麻と魔除け
麻は100日で3メートルほど伸びる。
生まれた赤ん坊がすくすくと成長する、真っ直ぐに伸びるという意味で捉えられ、子どもの健康を祝う縁起の良いものとされた。
麻の葉は穢れや災いを祓うという意味を持っていた。
麻の葉模様は、魔除けにも使われてきた。幼児の着物に麻の葉模様を縫い付けて、背後から魔物が入らないようにという願いが込められた。
神社仏閣には、麻の葉模様が彫られることもあり、仏教絵画や曼荼羅(まんだら)にも描かれている。なんと、麻布警察署の署章は、麻の葉で表現されている。
一呼吸置いて、私たちの周りを見渡そう。「麻の葉模様」は、私たちの身近にある。
ー岡崎 匡史
PS. 以下の文献を参考にしました。
・大麻博物館『麻の葉模様』(大麻博物館、2019年)
この記事の著者
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岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
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日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。