From: 岡崎 匡史
研究室より
かつてジャガイモは戦争に欠かせない食糧であった。
国家総力戦の時代、国民や兵士の食糧を確保することが極めて重要。空腹では戦えないし、持久戦を持ち堪えることができない。
ジャガイモは、生育期間が短く、1本の茎から2キロほどの収穫がある。さらに、長期保存に優れており、寒冷地でも栽培できる。ビタミンとミネラルが豊富なので、ジャガイモは「大地のリンゴ」とまで呼ばれます。
ジャガイモの起源
さて、ジャガイモの起源は、南米大陸のアンデス地域。
インカ帝国がスペインに滅ぼされ、スペインの貿易船がジャガイモをヨーロッパに持ち帰る。
ジャガイモは「聖書」に出てこないので最初は避けられていましたが、食糧不足にあえぐヨーロッパで徐々に普及していく。
プロイセン王国のフリードリヒ大王は、「ジャガイモ令」を出して、ドイツ全土にジャガイモの普及を目指した。農民たちに、無料で種イモを配り、栽培を強制させた。ジャガイモは、小麦よりも一度にたくさん収穫できるからだ。
オランダ東インド会社
日本にジャガイモが伝わったのは、戦国の世である1601(慶長6)年。オランダ東インド会社の貿易船から日本にもたらされた。
当時、オランダは現在のインドネシアを植民地としていた海上帝国。オランダ統治下、インドネシアの首都「ジャカルタ」は「バタヴィア」と呼ばれていました。
しかし、日本とインドネシアとの交流は深く、朱印船貿易時代から日本人はジャカルタを「ジャガタラ」と発音していたのです。
「ジャガタラ」から伝来した「イモ」なので、「じゃがいも」(ジャガタライモ)と名付けられた。
ジョークのような、本当の話。
ー岡崎 匡史
PS. 以下の文献を参考にしました。
・伊藤章治『ジャガイモの世界史』(中央公論新社、2008年)
・いも類振興会編『ジャガイモ事典』(いも類振興会、2021年)
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。