中国という巨大市場

by 西 鋭夫 October 14th, 2024

挑戦者たち

中国という巨大な市場を求め、日本企業だけでなく、多くのアメリカ企業も参入を試みました。しかしほとんどのケースで大失敗に終わっております。

例えば、GoogleやAmazon、そしてUberです。まずはUberからいきましょう。最近、アメリカに来られた方はわかると思うのですが、タクシー業界はすでにUberに牛耳られております。ニューヨークに行けば、イエローキャブという黄色のタクシーはおりますけれど、そのほかの都市ではもうほとんど見かけません。スタンフォードの周りではほとんどUberです。

そのUberが中国市場への参入を試みました。しかし、途端に失敗です。UberはGoogleマップを使うでしょう。しかし中国ではGoogleマップがうまく動かないのです。Googleは何度も参入を試みておりますが全く成功しておりません。GoogleありきのUberですから、もちろん大失敗です。

 

撤退に次ぐ撤退

Amazonも張り切って行きました。Amazonが征服していないのは、残すところあの中国大陸に住む10億人だと思い、ワッーっと入っていきました。しかし中国にはすでにAmazonのような会社がありますので、全く太刀打ちできずに撤退です。

Googleは何度も挑戦しております。最初は2006年です。Googleは最初、中国が求めたことを全て受け入れ、事業を始めようとしました。その中には例えば、検索で「香港」や「天安門」と入れても、そこに関わる事件や出来事がネット上で出ないようにする制御も含まれていました。

そんなことをしたらアメリカ国民はどう思うでしょうか。Amazonは多くの非難を浴びながら引き上げです。次はその3年後の2009年頃です。そしてまたもや失敗しました。懲りずに何度も挑戦していることから分かるように、Googleにとっての10億人は、もう欲しくてたまらないのです。

 

中国という国

中国は本当にしたたかです。そしてアメリカとは比べ物にならないほどの長い歴史があります。今、アメリカでは「アメリカ・ファースト」という言葉をよく聞きますが、中国は昔から「チャイナ・ファースト」で動いております。

そして偉大なる文明を築きました。中国文明やその歴史が好きだという方々は決して少なくありません。私も中国文明は大好きですし、いろいろと勉強して学びました。

共産党になって少しおかしくなりましたけれど、その兆しはすでに第二次アヘン戦争が終わった1860年頃からありました。もう完全にアウトでした。それまでの明国、清国はまさに宇宙の中心であり、あそこにはすべてが揃っておりました。大金持ちで軍隊も強い超大国でした。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
人脈と政治力(2020年6月下旬号)- 10


 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。