スタンフォードの秀才たち

by 西 鋭夫 March 18th, 2024

文武両道

2016年、ブラジルのリオで開催されたオリンピックにて、スタンフォード大学出身者が27個のメダルを獲得しました。スタンフォード一校でこの数です。大学のキャンパスは広大ですが、学生数はそれほど多くはありません。なぜこんなことが出来るのか。

朝から晩まで練習しているから、と考えるかもしれませんが違います。答えは、スポーツだけでなく、しっかりと勉強もしているからです。スタンフォードでは、成績が悪くなるとスポーツの試合に出してもらえません。どんなに優秀な選手でもです。文武両道の精神が貫かれているのです。

練習もスパルタ方式ではありません。たっぷり休ませます。ですから、勉強の時間もしっかりと確保されているのです。これがスタンフォード大の強さの秘訣です。





スポーツ人気

文武両道の選手たちを支えるのが、スポーツを取り巻く社会環境です。アメリカにはスポーツを大切にする意識が息づいております。興味関心程度ではありません。国全体を上げてスポーツを楽しみ、その選手たちをサポートする体制ができているのです。

小中高でスポーツが出来て、勉強も出来る子どもたちは名門校を目指します。中でもスタンフォードはかなり有名ですから、皆さんここを目指すのです。そうすると、運動選手として質の高い学生がじゃんじゃんと入ってくるのです。

スポーツができる人は、社会からも一目置かれます。日本では余程のレベルにならないとメディアで大きく取り上げません。ご近所にてちょっと話題になるくらいでしょう。米国ではスポーツができると、小さな地域でもすぐに評判になります。

 

お金

スポーツができる人の評価はお金で測ることが出来ます。スポーツで頂点に立つと、米国ではとんでもない額の報酬がもらえます。日本はそれに比べるとほんの少しです。これは非常に良くない。アメリカはプロ意識で動いていますが、日本にその意識はありません。スポーツでお金を稼ぐことについては抵抗があるのです。

実際そうでしょう。スポーツでお金を稼ぐのは「悪」とか「良くない」などと思われております。すなわちスポーツは営利目的ではなく、純粋に楽しむものだと思われているのです。いわゆる、アマチュアリズムという発想です。

イギリスの貴族間で重視されたこの考えは、明治時代に日本に入ってきました。それ以降、スポーツはアマチュアリズムで行うのが良しとされてきたのです。

 

西鋭夫のフーヴァーレポート
スポーツ大国アメリカ(2020年2月下旬号)-1

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。