大いなる嘘
先ごろ、廃炉になるはずだった東海第二原発が「20年の運転延長を認められた」とのニュースに接しました。腹立たしく思います。私は昔から原発については反対の立場でしたが、今こそ大反対だと言いたい。
皆さん、あんなに危ないものをよく平気で使い続けるなぁと、私はそう思っています。福島が起こるまでに、どれだけ洗脳されてきたのでしょうか。政府も企業もマスコミも、ほとんど疑問視することなく、原子力分野の科学者の皆さんが大手を振って歩いておりました。原発に警鐘を鳴らしていた一部の科学者や政治家は異端視され、感情的で冷静な議論の出来ない馬鹿者のような扱いでした。
事故が起きた後はどうでしょう。今度は、大嘘をつき始めました。政府を筆頭に、電力会社や巨大企業、巨大産業など、すなわち莫大なお金と政治力を持っている人たちが、私たちに向かって嘘をついているのです。恥ずかしいとも思っておりません。悪いとも思っていない。
期限延長
期限はここまでという決まりが、覆され、延長となりました。非常に大きな圧力がかかり、「あと20年は問題ない」となったのでしょう。自動車でブレーキが壊れたり、エアバッグが壊れたりしたら直せますけど、原発は別ですよ。何かの理由でメルトダウンやメルトスルーが起きれば、私たちはなすすべなしです。「廃炉にする」と言っていますが、全くもって進んでおりません。そもそも近寄ることができないのです。ロボットも近寄ると返り討ちです。
原発のことについてはいろいろと書きましたので、長くは言いませんけれども、この地震大国日本にいまだに54基もの原発があります。本当に全ての原発を廃炉にできるのでしょうか。問題を先送りしているだけでしょう。
計画停電とは何だったのか
皆さん、お忘れかもしれませんが、3.11が起きたあとに奇妙なことが起きておりました。計画停電というやつです。原発が動いていないので、電力不足に陥るかもしれません。ですから、皆さんで頑張って節電しましょう、ということでした。
しかし原発が動いていない中でも、私たちは通常通りの生活をしておりました。暑い夏も、寒い冬もです。事故からすでに7、8年経とうとしておりますが、原発は動いておりません。しかし経済も生活も回っているのです。
それでもなお日本人は真面目ですから、日頃の生活にて節電を心がけるようになりました。そうすると、今度は東電の収入が減りますね。その後、どうなったでしょう。明確な因果関係は永遠にわかりませんが、電気料金が上がっていきました。節電をして頑張ったのに、電気料金が上がっていく。しかもその間、原発は動いていない。これはどういうことなのでしょうか。
西鋭夫のフーヴァーレポート
第三次世界大戦の予兆(2019年6月上旬号)-9
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。