外国人政策
「人手不足を解決するため」と言えば、何でも許されるのでしょうか。きちんとした理由も説明も何もない、その場限りの政策が溢れているように思います。今回出てきたのは外国人をどんどん受け入れようとする「入国管理法」の改正です。何度も言いますが、人手不足と言う前に、働きたい女性のこと、そして元気な高齢者のことを政府はどれだけ考えているのか。
日本の移民政策は小手先の対応に思えてなりません。世界の先進国・地域では今、移民、難民問題で大変なことになっております。想像を絶する大げんかが起きています。日本にはその決意があるのでしょうか。どれだけのお金をかけようとしているのでしょうか。
それでもなお移民を受け入れたいのなら、明治初期の外国人政策を参考にしたらどうでしょう。すなわち外国人の「一本釣り」政策です。
お雇い外国人
お雇い外国人という言葉がありましたね。フランスやオランダ、アメリカ、イギリス、ドイツなどの国々から、一流の技師や法律家、研究者たちが日本にやってきて、日本社会の発展のために大きく貢献してくれました。そして政府は、それに見合うだけの報酬を出したのです。
今さらそんなことは無理なんじゃないか、と思われますが、民間の世界ではそれが常識です。AppleやGoogleを見てください。世界中で一本釣りをやっています。世界の天才たち、数学の天才たち、コンピューターの天才たちを連れて来ているのです。日本もまずそれをしなさい。
永住権
アメリカも国としては似たようなことをやっております。私はアメリカの永住権を持っていますが、これは誰にでも与えられるものではありません。私が取得できたのは、博士号を持っているからです。持っていなかったら、「おまえは何をしているのだ」、「アメリカに来て何をするつもりだ」などと言われるでしょう。
アメリカで暮らすもう一つの方法は、お金をたくさん持って来て、アメリカ国内で起業することです。そうするとすぐに永住権を出してくれます。アメリカでジャンジャンと新しいビジネスをはじめて、皆を元気に、ハッピーにしてちょうだいと。それが出来るのなら、アメリカ政府は大歓迎なのです。
それと同じように、「たくさんお金を持って日本で起業してくれたら、永住権を明日出しますよ」とやればいいのです。安倍総理は今、英語を教える人材をまずは拡充しようなんて考えておりますが、そんなものでは変わりません。それに英会話なぞやってもしょうがないのです。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2019年3月下旬号「揺らぐ日本の人材育成」-9
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。