砂塵
日本では「環境のために」と言えば、何でもかんでも許されてしまう風潮があります。「環境」という言葉を聞くと、神様のお告げかのように錯覚してしまうのです。これまで相当な額のお金が「環境のため」という名目で使われてきました。その額は何十兆円か分かりません。
そんなことより、お隣の中国に一言、言わなければいけません。中国から来る煙や砂塵を止めないと、日本の山々が枯れ続けます。誰が見てもすぐわかることなのに、日本政府はきちんと抗議しておりません。怖くて言えないのですか。
実際、日本アルプスの日本海側は木が枯れて白っぽくなっています。あれはCO2のためではありません。CO2がたくさん排出されていたら、木々はより深い緑になっていたはずです。白く枯れた理由をきちんと認めず、あたかも自分たちの国の環境政策に問題があると考えているのが、今の日本なのです。どれだけお人好しなのでしょう。
国際機関
「パリ協定」や「ユネスコ」への盲信も問題です。具体的に何をしているのか、検証すべきです。私たちの税金がどこにどれだけ使われているのか。知れば知るほど唖然とするでしょう。「税金をそんなところに使うな」という思いが湧き上がってきます。
そもそも国際社会の取り組み以前に、日本では昔から環境にやさしい生活が実現しておりました。長い年月をかけて培われてきた技術やその生き方、考え方は、自然と見事に調和しております。世界が見習うべきは、日本の知恵であり、日本がこれまで培ってきた環境に対する考え方とその実践です。
それくらい、日本には誇るものがたくさんあるのです。なんでもかんでも国際的なものや世界に答えを求める姿勢は再検討すべきものと思います。
環境パフォーマンス指標
そんな日本の現実は今や国際的にどのように映っているのでしょうか。日本人は国際社会に貢献しているというイメージを持っているかも知れませんが、それは幻想です。
アメリカのイェール大学とコロンビア大学が共同で研究調査を行っている「環境パフォーマンス」事業には、環境に優しい国ランキングというものがあります。2018年のランキングをみると1位がスイス、2位がフランス、そして3位がデンマークとなっております。日本はというと20位です。
日本はもはや世界をリードする「環境大国」ではなくなってしまったのです。最大の理由は原発です。事故から8年が経ちましたが、結局のところ私たちはいまだに福島原発の廃炉処理が出来ておりません。前進しているというより、どうしたらよいか分からないという状況が続いているのです。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2019年3月上旬号「原発密約とパリ協定」-6
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。