エプステイン教授の警告
原発は温室効果ガスの減少に貢献すると言われておりますが、実は「温室効果ガス」そのものが疑問視されていることはほとんど知られておりません。例えばアメリカの学術界では「地球温暖化と二酸化炭素を結びつける科学的な根拠は弱い」と言われております。
このことを明確に主張したのがフーヴァー研究所のリチャード・エプステイン教授です。彼は2017年の論文「パリ協定は忘れよう」において「パリ協定からの離脱が環境を傷つけることはない」と指摘しました。パリ協定とは、2015年にパリで開かれた温室効果ガス削減に関する国際的な取り決めです。
日本では、小学校から高校まで、二酸化炭素が悪者のように扱われております。すなわち、CO2が地球温暖化の元凶なのだと教えられてきました。しかしそれは最近の研究によれば全くの誤解なのです。現実は逆で、CO2は地球環境を守る上で、極めて重要な役割を担っております。
CO2の本当の姿
スタンフォードの中に私の賢い友人たちがおります。全員おじいちゃんとおばあちゃんなのですが、このあいだ「トシオ、CO2は地球にとって非常に良いこともあるのだぞ」と話してくるので、「何があるのですか」と聞き返すと、「CO2は植物の栄養だ」という答えが返ってきました。
皆さん、CO2は植物のエネルギーなのです。これまで開発途上国と言われていた国々が、この10年、20年で大きく発展しているでしょう。二酸化炭素は出し放題で、世界中から非難の的になっております。しかし、経済成長を成し遂げた国々が位置する赤道直下、あるいはその周辺地域では、今、ものすごい勢いでジャングルが増えているのです。どんどんと樹木が育っているのです。
友人が言うには、赤道から北に10度、南に10度を見るとすぐにわかるとのこと。樹木たちで青々としているようです。そこでは大量の酸素も生成されております。樹木層のさらに上下10度部分、すなわち赤道から20度北、20度南を見渡してみますと、今度は草原で埋め尽くされているようです。草がものすごい勢いで広がっているのです。こんな現象は今までになかった、とびっくりしておりました。CO2を栄養とする草木がわさっと増え、酸素もまた大量に発生しているのです。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2019年3月上旬号「原発密約とパリ協定」-4
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。