From: 岡崎 匡史
研究室より
前回の記事「GHQと奉納金」では、「神道指令」について触れました。
地域住民から強制的に奉納金を徴収してはいけない、という文書が出回ったことを紹介しました。
引き続き、「神道指令」が与えた影響について観察していきましょう。
GHQが命令を出したからといって、命令が忠実に実行されるとは限りません。地域差は必ず出ます。
指揮・監督する側のGHQとしては、地域差をなくすために、命令に違反している地域や事例がないか注意を払っています。
徹底
GHQの日本占領は、直接統治ではなく、占領政策を日本政府に命ずる「間接統治」を採っていました。そのため、GHQの指令に基づく命令は、日本政府から都道府県、さらには市町村にまで通達されました。
公文書の特定部分をじっくり読むと、日本のどの地域のことか分かると思います。
府学第八四二号
昭和二十一年八月二十四日
府中地方事務所長
各町村長殿
連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する件の宗教団体に対する徹底について
連合国最高司令部より発せられた本年一月十九日附府学第五二号指令「国家神道、神社神道に対する政府の保証支援、保全、監督及弘布の廃止に関する件」についてはさきにその趣旨の徹底について御配意を煩したが本年六月十二日勅令第三百十一号「連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する件」が公布され七月十五日より実施されているが連合国司令部より従来発せられた指令及今後発せられ又これからの指令に基いて政府の発する勅令又は省令等に違反した場合に本勅令が厳重に適用されるので貴部内の神社、寺院、教会等に対してては勿論、氏子崇教者、教団、信徒に対してもこの際かさねて此の趣旨の徹底に努められて萬遺憾のないようされ○○○○○(判読不可)通知す
この記事の著者
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。
岡崎匡史
日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。西鋭夫に師事し、博士論文を書き上げ、著書『日本占領と宗教改革』は、大平正芳記念賞特別賞・国際文化表現学会学会賞・日本法政学会賞奨励賞を受賞。