From: 岡崎 匡史
研究室より
1945(昭和20年)12月15日、GHQより「神道指令」が発せられた。
正式名は、「国家神道、神社神道ニ対スル政府ノ保証、支援、保全、監督並ニ弘布ノ廃止ニ関スル件」。
「神道指令」は、当時の人々の実生活にどのような影響を与えたのか。
今回紹介する史料は、神社への奉納金に関してです。
神社への奉納金といっても、ピンとこない世代が多くなりつつあります。
令和の日本でも、自治会費(町内会費)を徴収している地域が大半です。この自治会費のような感覚で奉納金を捉えてみてください。
戦前の日本では、神社への奉納金を半ば強制的に徴収している地域がありました。なぜ、神道だけなのか。GHQの視点からすると、奉納金は神道を優遇する政策に見える。
神社への奉納金が罷り通ってしまうと、寺院や教会への強制的な奉納金も許されてしまうことになりかねない。
そのため、日本のすべての宗教を平等に扱うことを主眼に「神道指令」は練られたのです。
注意勧告
「神道指令」を徹底させるために、日本の某地域では、奉納金を強制徴収しないように注意を促す文書が出回った。
各部落会長殿
神社の奉納金祭典費等について
神社の奉納金祭典費等については従来左記のような慣行があり部落によりてはなほそのままこれを実施している向もあり神社が宗教法人となった以上かかることは不適当にて今後はかかる事を行ふことのない様其の筋より指導方の指示があったから今後は其の命に違背せざる様厳に注意せられたい
記
一、神社又は神社付属の講社崇敬会等の初穂料寄附金月賦金等の拠出に当って町内会隣組等が集金したり慣行の氏子区域内の居住者に拠出金を割当てたりすること
二、町内会部落会の経費中から祭典費や寄附金を支出すること
三、町内会部落会隣組を通じて神符守札形代等を頒布すること
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prideandhistory_admin
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