食糧問題
日本国内でもクジラの重要性は理解されない状況が続いております。「日本にはクジラ以外にもたくさんの食べ物があるのだから、クジラを食べる必要はないのではないか」といった声も聞こえてきますし、そもそも「クジラ食文化はすでに滅んでいるのではないか」と指摘する人もいます。そんな人たちに捕鯨について理解してもらうにはどうしたら良いのでしょうか。
私は食糧問題という観点から考えることが大切だと思います。別に「食べろ」と言うのではないのです。食べたくないのなら、食べなくて良いのです。しかし、世の中に戦争が起こり、天変地異が起こり、食べ物がなくなる時が必ず来ます。日本だけその状況が起こらないなんて、そんな冗談はないでしょう。
私は子どものころ食糧危機を経験しています。危機というのは家に帰っても食べ物がないのです。何もないのです。その食糧をめぐり喧嘩が起きます。国際的なレベルではなおさらでしょう。あちこちで食糧をめぐる戦いが起こります。
国防
銃弾やミサイルより怖いのはお腹が空いた飢餓状態です。こちらの方がはるかに多くの人々を死に追い込むことが出来ます。国防の基本は食糧の確保からです。
多くの人たちが勘違いをしております。ジェット機を1〜2台購入しても仕方がないのです。まずもって取り組むべき国防政策は「畑」を耕すことです。
田畑に関するルールも変えなければいけません。農協による厳しいルールや制限があるようですが、畑を耕したい人、また大きい土地を買ってそこにジャンジャンと投資をしたい人、アイディアを持って日本の農業を変えたいと思っている人、様々な人々に対して開かれた田畑であって欲しいと思うのです。でないと、いつまで経っても宝の持ち腐れでしょう。
脱退後の捕鯨
IWC脱退後はもちろんルールに縛られる必要はありません。日本ではこれまで調査捕鯨などと言いながら、細々と捕鯨を続けてきましたが、もうその必要はありません。
食糧市場においてクジラは、獲る量が厳しく制限されておりましたので、スーパーに行ってもなかなか出回っておりませんでした。しかしクジラを獲り、より多くの人がクジラを食べるようになると、流通システムも次第に整っていくでしょう。水産省も今頃は張り切っているのではないでしょうか。
新しい捕鯨船も建造されるかもしれません。より効率の良い捕鯨船が出来れば、日本に持って帰ってきて、すぐに売り出すことも可能になるでしょう。後はスーパーがどのようにクジラ肉を販売していくかです。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2019年2月上旬号「クジラと海洋資源争奪戦」-4
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。