カルロス・ゴーン
およそ20年前、危篤状態のようだった日産を救ったのはカルロス・ゴーン氏でした。日本政府には何も打つ手がなかったのでしょうか。自動車産業は日本の基幹産業です。力を尽くすべきであったと思います。
日産からすれば、潰れる寸前の会社経営の中で、必死になって良い経営者を探していたに違いありません。そんな中で見つけたのがゴーン氏だったのでしょう。案の定、来たらバンバンと改革を実行し、2、3年で立ち直ってしまいました。
そのゴーン氏を日産は内ゲバで追い出し、今度は日本社会全体までもが批判し始めました。まだ犯罪者と決まったわけではないのに、人権を無視したかのような扱いです。
フランスはどう動くか
フランス側は見ていられないでしょう。皆さん、フランスは個人の考えや権利を重視する個人主義の国と思われがちですが、彼らがまずもって絶対視しているのは法律です。法律に則ってなんでもやる。それがフランスです。
フランス人はよくネチネチとしつこい、などと言われますが、それは個性ではなく、法に則って動いているのです。1ドルや2ドルなどの違いでも、日本やアメリカだったら「まぁいいや」となりますが、フランスではそうはいかない。ネチネチと、法に基づいて自分の権利を主張してきます。
フランスは現在、国内外でさまざまな問題を抱えております。ですから日本に反旗を翻すことはないでしょう。しかしゴタゴタが落ち着いた頃、日本に逆襲するのは間違いないと思います。簡単に痛みを忘れる国ではございません。日本の有名企業の社長さんたちは内心怖がっているのではないでしょうか。日本のオリンピック利権なども狙われているかもしれません。水面下では必死に捜査しているのではないかと思います。
技術と企業
自動車産業は技術力と研究力があって初めて一流企業となります。トヨタの研究所もスタンフォード大学の近くに建ちました。今トヨタはここで、自動車に関して世界最新の研究をやっておられます。
私はトヨタは強く素晴らしい会社だと思っておりますが、会社が大きくなればなるほど、だんだんと官僚的になっていきます。そんな時、技術者がトップにいれば良いのですが、日本の通例では技術や研究の分からない、いわゆる営業が上手な人がトップになったりしています。
潰れない自動車会社には、車のメカニズムを熟知した技術職がトップになるという伝統があるのかもしれません。トヨタやホンダには、まだそうした流れが続いているように思います。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2019年1月下旬号「日本独立への道」-2
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。