米中関係
新しい時代に相応しい日本に向け、一つ重要なことをお話しします。それは対露外交という盲点についてです。
日本を取り巻く北東アジア情勢を語る際、ほとんどの人は米国と中国に注目します。そして、その中で日本がどう生きるのか、どう外交を展開するのかを問うております。
間違いではありませんし、米中関係はもちろん重要です。トランプ氏も、習近平氏も躍起になって競争し、言葉の応酬を繰り返しております。そんな中で日本がどう舵取りするか。これは大切な問題意識でしょう。
ロシア
しかし米中関係の中だけで日本外交を捉えるのは視野が狭すぎます。アジアの国際関係のみならず、国際政治全体を動かす主要なプレイヤーはロシアです。対露外交をどう作るかによって、日本の将来が左右されるのではないかと思います。
ここでぜひ頑張って頂きたいのが安倍総理です。日露関係にはまだ平和条約がありません。そこでまずは両国が停戦し、平和な状態であることを宣言する。それだけでも非常に大きな功績となります。
それをきっかけとして、シベリア開発をロシアと共同して進めていく。日本の企業がシベリア開発にどんどんと出かけていくのです。プーチン氏もシベリアをいかに開発するかで悩んでいるでしょうから、そこに日本が助け舟を出していくわけです。
開発がもたらすもの
開発によってロシアにお金が入り出すと、日露関係もどんどんと変わっていくと思います。問題となっている北方領土は、ロシアから見れば大きな問題ではなくなるでしょう。
活発な経済交流は、文化交流と人物交流を促します。ロシアの文化的底力はまだまだ知られておりません。豊かで長い歴史的背景を持っております。そんなロシアと経済的にも文化的にもじっくりとお付き合いしていく。日本全体が活気づくと思います。北海道は対露外交の前線でもあり、日露の経済、文化、人物交流の拠点となるのではないかと思います。
日本が活気づく話です。日露平和条約が締結されたら日本人の戦後意識もガラッと変わるでしょう。日露関係を基軸に希望が見えてくるでしょう。政府高官らが心配する、いわゆる「外交カード」という点でも、様々な選択肢を得ることが出来ると思います。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2019年1月上旬号「平成史と元号」-7
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。