昭和
私は昭和から平成、そして平成から次の時代へと、日本と世界の動きを何十年と分析してまいりました。もちろん、平成という時代に対して本格的に分析するのはまだまだ先のことでしょう。今はまだ時間が近過ぎます。しかしながら、平成という時代の位置付けについてはある程度の議論は可能だろうと思います。
平成とはいわば、昭和が終わり、日本人がホッとした時代だったように思います。昭和末期の騒がしいバブル経済が終わったことで、忙しさからやっと解放されたと感じた人も多いのではないかと思います。
昭和という時代、私たちは大戦争を経験しましたが、戦後処理については占領軍であった米国任せで、自分たちで禊(みそぎ)をしておりません。覚えているのは東京裁判と日本国憲法だけという状態です。一時的にお金持ちになりましたが、アメリカに振り回されて終わりました。
平成
平成という時代に入り、私たちは精神的な空間が欲しくなりました。もう何もしたくない。何もしない方がいい。それが一般人の本音だったのかもしれません。
しかし実際のところ、「平成」は私たちが求めたものから程遠く、時間的、精神的にどんどんと追い詰められていく状況が続きました。それが約30年間です。政府は「あれもしろ」「これもしろ」とたくさんのことを要求しましたが、全部失敗しました。景気が良くなったという実感もありません。
私が教えている学生などは本当に貧乏です。コンビニのおにぎりを3つあげたら大喜びです。普通は夜11時頃に「少し安くなるから買いに行く」という状態のようです。この現状を日本のリーダーや企業のお偉いさんたちは見ていないだろうし、知らないのでしょう。
愛國
消費税の引き上げの話がまた出ています。多くの日本人が意気消沈してしまうのではないでしょうか。底辺を知らない政治家の先生が大勢いらっしゃいます。日本はいつからピラミッド型の階級社会になったのか。
今の日本に欠けていることは、国の現状を真正面から捉え、適切な対策を講じていくことです。その実践を根底から支えるのが国に対する気持ちです。国を愛すると書くと、右翼ではないかと言われますが、二項対立的な議論に大きな意味はありません。
誰もが自分たちの国のことを大切に想い、自分の家族や身近な人々に寄り添って考え、暮らしていく。それこそが愛国の真の姿だと思います。次にやってくる新たな時代は愛国元年となって欲しいと願っています。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2019年1月上旬号「平成史と元号」-6
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。