トランプ大統領とユダヤ教

by 西 鋭夫 November 28th, 2022

シナゴーグ襲撃事件

アメリカでは11月、ユダヤ教の礼拝所(シナゴーグ)が襲撃され、銃の乱射事件にまで発展しました。トランプ大統領は「礼拝所の中に防衛装備があれば、こういう結果にならなかった」とし、「礼拝所に武装した警備員を配置すべきだ」と主張しました。

これを聞いたユダヤ人たちはトランプ氏への信頼を強めたのではないでしょうか。というのも彼は米国の大統領として初めてオープンに「ユダヤ教を守る」ということを明言したからです。10分も、20分も撃たれっぱなしであれば、大勢が死にます。ユダヤ人たちの正当防衛の必要性をしっかりと認めたトランプ大統領の発言に、ユダヤ社会は感動したことでしょう。

イヴァンカ

トランプ大統領の政治信条はまた、愛娘イヴァンカの影響もあるのだろうと思います。彼女の夫は厳格なユダヤ教徒です。彼女はキリスト教のプロテスタントでしたが、改宗して結婚しました。娘がそこまでやるなら、お父さんも頑張らないといけない、と考えたのかもしれません。

アメリカ国内にはそれほど多くのユダヤ嫌いはおりません。あったとしても隠している方が賢明でしょう。アメリカ在住のユダヤ人は、経済的にも、政治的にも極めて大きな力を持っているケースが多いからです。

 

反ユダヤの起源とは

しかし、そもそもなぜユダヤ人たちは差別や迫害にあってきたのでしょうか。これは本当に不思議なことです。私にも詳しくは分かりません。宗教的な根っこが他の宗教と大きく異なるということもあるのかもしれません。神道も古いですが、ユダヤ教はさらに古い可能性があります。

彼らは頭がとても良く、一致団結して大きな力を発揮します。古代から近現代までの歴史上の出来事を総じて見ると、そこには常にユダヤ人の存在があることに気づきます。たとえ表舞台に出ることはなくとも、歴史の裏側では絶大な影響力を発揮しておりました。

ナチスドイツはそのことを鋭く問題視したわけです。生粋のアーリア人が貧しいのは、ユダヤ人がドイツ社会を牛耳っているからだと主張したのです。

西鋭夫のフーヴァーレポート
2018年12月上旬号「反ユダヤ主義」-3



 

 

この記事の著者

西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。

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西 鋭夫

西 鋭夫

1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。