拝金主義
アメリカの社会を動かすもの、それは一つには人種です。しかしそれよりも強力なものがあります。お金です。お金が絶大な力を持つ社会、それがアメリカです。日本でお金の話をすると「嫌らしい」「汚い」などと言われますが、アメリカでは逆です。皆さん、お金の話が大好きです。
私の息子が大学でアメフトをやっておりましたので、その試合を見に行ってきました。行くとすぐにわかりますが、寄付をしている人の席とそうでない席が分かれております。寄付をしている人たちは、スタジアム中央の上の方に設けられた特等席へ招待され、そこでお酒や食べ物が振る舞われます。
私は寄付をしていますからそこに行きますと、当然、寄付金を集める部門の部長さんが挨拶にやってきます。そこで「息子さんはプレーしていますか」「やっているよ」などの会話があり、私が「毎回出ていないから、寄付する意欲がなくなっちゃうよ」と言えば、「分かった。俺からコーチに言っておく」となります。親バカではございますが、こんな機会にお金の話をしない方がおかしい。アメリカではそういう雰囲気です。
オバマの失態
日本人にとっては信じられないかもしれませんが、アメリカはどこもかしこも「お金」が物を言う社会なのです。ですから、お金がない人は大変なのです。
8年に及ぶオバマ政権がもたらしたこと。それは貧富の差の解消というより、貧富の差の拡大でした。米国社会の下層にいる黒人、ヒスパニック、アジア系は高い失業率でした。
トランプ政権になり失業率がドッと下がりました。彼らの失業率は、アメリカ建国始まって以来の低い数値となりました。トランプ政権に対しては拍手喝采です。彼は欲望にガソリンを注いだ感じで、税金を下げ、様々な裁量労働制を廃止しました。どんどんと働け、働け、の世界です。貧しいアメリカ人らも必死です。一生懸命に働き、暮らしが豊かになっていったのです。
才能ある教授の証
拝金主義のアメリカでは、単に研究ができるだけでは尊敬される教授になりません。もちろん、有名校の先生は別でしょうが、教授をやっていると言ったら、多くの場合「お前は金持ちなのか」と聞かれます。私が「スタンフォードにいる」と言えば、「どんなベンチャーをやっているのだ」と聞かれます。そんな発想なのです。
ですから、大学の教授でお金持ちではないアメリカの先生は評価されません。教授なのにお金がないなんて、どこかおかしいのではないか、とさえ思われてしまうのです。
一方、ビジネスで大金を稼いでいる人は憧れの的となります。彼らは「頭が良い」「才能がある」などと社会から評価されます。
西鋭夫のフーヴァーレポート
2018年11月上旬号「働き方改革と歴史」-3
この記事の著者
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。
西 鋭夫
1941年大阪生まれ。関西学院大学文学部卒業後、ワシントン大学大学院に学ぶ。
同大学院で修士号と博士号取得(国際政治・教育学博士) J・ウォルター・トンプソン広告代理店に勤務後1977年よりスタンフォード大学フーヴァー研究所博士号取得研究員。それより現在まで、スタンフォード大学フーヴァー研究所教授。